人望のない上司は「評価の伝え方」を知らなすぎる 面談が苦手な人にもオススメ基本の進め方5ステップ

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4. 評価をすり合わせる際のポイントは「表層深層フレーム」

評価を伝え終わったら、部下の納得感を醸成するために、お互いの評価をすり合わせる必要がある。このときに意識したいのが、部下の「表層」ではなく「深層」に働きかけることだ。

上司の評価と部下の自己評価がズレていたり、上司と部下で評価基準の捉え方が違っていたりするケースは少なくない。そんなとき、一方的に「その基準は間違っているから、こう考えなさい」と言っても、部下は納得してくれないだろう。そこで、活用したいのが「表層深層フレーム」だ。

(画像:『マネジャーのための人事評価で最高のチームをつくる方法』)

部下が「納得できない」理由

部下と上司には、それぞれ「表層=目に見える言動」と「深層=目に見えない意識や思いなどの前提」がある。

例えば、上司が部下に対して「顧客との関係構築力の項目の評価は△だ」と伝えたとする(言動Y)。これに対し、部下が「なぜ△なのか納得できません」と言ってきた(言動X)。部下は、既存顧客から追加提案の機会を獲得できていたので、関係構築力は十分に発揮できたはずだという前提を持っていた(前提X)。そのため、「納得できない」という言動が表面に現れたわけだ。

一方で、上司は「期初の目標設定のときに、関係構築力の評価ポイントは、部下が得意とする既存顧客の深耕ではなく新規顧客の開拓だと設定していた。たしかに既存顧客への追加提案は素晴らしいが、今期の狙いだった新規顧客開拓はできていない」と考えていた(前提Y)。

(画像:『マネジャーのための人事評価で最高のチームをつくる方法』)

「私の考えはこうだ」「自分はこう思う」というように、表層だけを比較しても納得感は生まれない。大切なのは、深層にある背景や考え方をすり合わせることだ。評価面談では、部下の表層の言動を正そうとするのではなく、その背後にある目に見えない考え方や暗黙の前提を言語化させるようにしよう。そうすることで、表層の言動も、すり合わせた前提に基づいたものへと変化しやすくなるはずだ。

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