「釜山国際映画祭」に見る韓国映画界の現在地 韓国映画の大ヒットは出にくくなっている

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また今年は開催に至るまで、運営内部の内紛や、セクハラ疑惑などで、釜山国際映画祭運営組織トップの相次ぐ辞任もあった。混乱を経て開催された映画祭だったが、『パラサイト 半地下の家族』の主演で、世界的俳優のソン・ガンホが映画祭ホストとなり開催を盛り上げ、レッドカーペットにいちばんに現れると、セレモニー会場の入口に3時間半立ちっぱなしで全ゲストを出迎えた。

釜山国際映画祭 ソン・ガンホ
映画祭ホストを務めた国民的スターのソン・ガンホ(写真:BIFF2023提供)

ソン・ガンホのような世界的俳優に映画祭に参画してもらうことは、これまで以上に世界からの注目を集めることができ、映画祭の大きな成功に結びつく可能性も高まる。

2010年前後が全盛期だった本映画祭。かつての勢いを取り戻すべく、世界的スターの起用に加え、本映画祭愛に溢れ、映画界と政界および地元自治体との懸け橋となり、さらに経済界をもつなぐ、次なるトップが待たれるところだ。

日本映画にも熱視線

日本からも例年通り多くの新作が出品され、監督や出演者らが現地入りし、トークイベントや記者会見などに出席した。韓国でも人気が高い岩井俊二監督の作品や、カンヌ国際映画祭で2つの賞を受賞した、是枝裕和監督の『怪物』、故・坂本龍一氏のドキュメンタリー映画など、多くの日本映画が注目を集めた。

岩井俊二監督は、本映画祭に第1回から参加している。『リリイ・シュシュのすべて』や『Love Letter』は韓国でも大ヒットし、知名度は高い。今回は新作『キリエのうた』が招待され、広瀬すず、松村北斗、アイナ・ジ・エンドとともに映画祭ステージに立ち、大歓声を浴びた。

釜山国際映画祭 キリエのうた 岩井俊二
レッドカーペットに登場し歓声を受ける『キリエのうた』の岩井俊二監督、アイナ・ジ・エンド、松村北斗(写真:BIFF2023提供)

『第76回カンヌ国際映画祭』で脚本賞とクィア・パルム賞を受賞し、韓国関係者からの関心も高い『怪物』で招待された是枝裕和監督は、キャストの黒川想矢と柊木陽太とともに記者会見と公式上映後のトークイベントに登壇した。

『怪物』の公式上映は4400席のメイン会場のチケットが発売から数分で完売。本作への韓国での注目度の高さが示されたほか、記者会見では韓国人記者からの絶賛が相次ぎ、脚本の坂元裕二氏や音楽を担当した故・坂本龍一氏との共同制作に関する熱心な質問が飛び交った。

怪物 釜山国際映画祭 是枝裕和
満席となったメイン会場のステージに公式上映後に登壇した『怪物』の是枝裕和監督、黒川想矢、柊木陽太(写真:BIFF2023提供)

その『怪物』の音楽を担当した、坂本龍一氏が生前最後に行ったピアノコンサートのモノクロ映像ドキュメンタリー『Ryuichi Sakamoto | Opus』の特別上映も2回行われたが、チケットは発売と同時に完売した。

そんななかで、多くの韓国の若者たちが集まったのが、原一男監督のマスタークラス(専門講義)だ。

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