ひどい腰痛でも検査異状ナシ?驚きの「その原因」 レントゲン検査でも問題なし、いったいなぜ?

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当院を受診され、諸検査をしました。その結果、脳の前頭葉の機能が低下し、脳過労がさまざまな体調不良の原因になっていることが判明しました。私は「睡眠負債による身体表現性障害」と診断しました。

Dr.O「Aさんの、腰痛・高血圧・糖尿病・胃腸障害の根本的原因は、すべて同一犯人の睡眠負債の可能性があります。これらの体調不良は、すべて最近起こってきたのですよね?」

Aさん「はい」

Dr.O「睡眠負債によって、もっとも影響を受けるのは自律神経です。熟睡中に交感神経が沈静化し、副交感神経が活動するのです。Aさんは睡眠負債によって、交感神経優位・副交感神経劣位が継続しているのです。交感神経優位が高血圧や糖尿病の状態を引き起こし、副交感神経劣位は、胃腸障害を引き起こしているのです」

Aさんは、睡眠薬の導入によって体調を回復し、鎮痛剤・降圧剤・抗糖尿病薬・胃腸薬を中止することができました。その後、熟睡習慣の導入によって、睡眠薬も1カ月で中止できました。

症例のAさんのように、ひどい腰痛や高血圧、糖尿病、胃腸障害といった身体の不調が、実は脳過労と睡眠負債が原因だった、ということは珍しくありません。この脳過労や不眠が、身体の至るところで悪さをしています。

これらは万病の元。脳過労や睡眠負債が、血圧を上げ、自律神経を乱し、身体の痛みを引き起こしているのです。

このように、睡眠負債はさまざまな生活習慣病と密接に関係しています。例えば、腰の痛みやめまい、肩こりなどといった、一見、寝不足とは関係ないような症状も、眠れないことによって脳の疼痛(とうつう)調節機能が低下したり、自律神経の活動が不調になるなどで生じる場合があります。

睡眠負債が老後の認知症の発症を早める可能性も

睡眠負債は、まず、その初期段階で高血圧や糖尿病、不定愁訴、ストレスといった生活習慣病の原因になります。例えば、高血圧症と診断されている方の30~50%が不眠に悩んでいると言われています。

さらに、睡眠負債が改善されないままだと、脳卒中やうつ病などの引き金になり、やがては老後の認知症の発症を早めることにもなりかねません。

また一方で、生活習慣病の患者さんは不眠症になりやすいと言われています。睡眠負債が心身に与えるダメージだけでなく、生活習慣病が睡眠に与えるダメージを認識することも重要です。この両方がスパイラルになって、相互に悪影響を及ぼすようになると、病気は思わぬ速さで進行することもあるのです。

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