「手指の痛み・こわばり・変形」リウマチとどう違う 「考えられる病気6つと対策」を専門家が解説

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実際、こうした早めの治療が奏功して、症状が和らぐ例も少なくないそうだ。岩城さんは「エクオールを3カ月間ほど摂取していたら、ほとんど痛みがなくなったという患者さんもいらっしゃいました」と話す。

痛みを和らげるには、関節内にステロイドを注射するという治療法がとても効果的だ。ただし、効果が持続する期間は人によって違っていて、およそ半年から1年程度。「ステロイド薬には骨がもろくなるなどのリスクもあるため、大量に使うことも、長期にわたって頻繁に使うこともできません」と岩城さん。

そのため、これまでに述べたような保存療法で改善がない場合、もしくは改善してもすぐに再発してしまう場合は、手術を検討することになる。

手術の方法は、へバーデン結節とブシャール結節で大きく異なる。

へバーデン結節の手術は、第1関節の曲がりを正してチタン製のスクリューを入れて固定する「関節固定術」が一般的。第1関節は動かなくなるが、指はまっすぐになる。また、第2関節が正常に動けば、日常生活に支障が出ることはない。「痛みがなくなるので、手を動かすのがラクになりますよ」(岩城さん)。

一方、ブシャール結節の場合、腱鞘(けんしょう)炎が原因と考えられる中等症くらいまででは、指を動かすための腱の1本を切除する「浅指屈筋腱(せんしくっきんけん)切除術」や、その腱を包む腱鞘を切開する「腱鞘切開術」などの治療法がある。

「浅指屈筋腱切除術や腱鞘切開術では、指の可動域はさほど変わりませんが、痛みは軽くなるので動かしやすくなります」(岩城さん)

重症例では、第2関節を人工関節に置換する「人工関節置換術」を行う。こちらは痛みが軽減するだけでなく、可動域が大きくなることが多い。

もともと私たちの指の第2関節は、角度にして100度程度動く。目安としては、それが50度ぐらいしか曲がらなくなったときに手術をし、だいたい70度くらいまで曲がるようになると、岩城さんは話す。ただし、手術後はリハビリが必要になる。

ほかにもある手指のさまざまな疾患

そのほかには、どのような病気があるだろうか。まとめてみていく。

「ばね指・腱鞘炎、ドケルバン病、手根管症候群、母指CM関節症も、よく見られる手指の関節の病気で、これらにもエストロゲンの低下が関係しています。そのため、初期で痛みが軽い場合は、エクオール含有食品が有効です」(岩城さん)

更年期でほかの症状もある場合は、ホルモン補充療法(HRT)を行ってもいい。ただし、その場合は整形外科ではなく、ホルモン補充療法を専門としている産婦人科での治療となる。

それぞれの病気については、以下のような特徴および治療法がある。

③ばね指・腱鞘炎

指の付け根に炎症が起こるのが「腱鞘炎」、それが進行して指を動かそうとすると引っかかるようなバネ現象が見られるのが「ばね指」だ。

これは手の使いすぎで起こることもある。母指と中指に多いが、どの指でも起こる。更年期や妊娠中、産後の女性だけでなく、男性でも糖尿病があったり透析治療を受けていたりすると起こりやすい。

最初は痛みだけであることが多いが、進行すると指が曲がったまま伸びなくなることもある。ステロイド薬を腱鞘内へ注入しても繰り返し発症する場合は、手術が検討される。「腱鞘切開術」でほとんどの患者の症状が改善するが、それでも痛みが続く場合は「浅指屈筋腱切除術」を行う。

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