「手指の痛み・こわばり・変形」リウマチとどう違う 「考えられる病気6つと対策」を専門家が解説

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④ドケルバン病

手首の母指側の付け根に腫れと痛みが生じる。母指を伸ばしたり曲げたりすると、痛みが増すことが多い。更年期、妊娠中、産後の女性だけでなく、パソコン作業が多い人やアスリートで母指をよく使う人などに多く見られる。

治療は、腱鞘内へのステロイド薬の注入が非常に効果的だ。手術には「腱鞘切開」があるが、ステロイド薬の効果が高いため、最近では手術例が減少しつつある。

⑤手根管症候群

手首にある手根管と呼ばれるトンネルのような空間には1本の神経と9つの腱が通っているが、これが圧迫されることで、手指に痛みやしびれを感じる。朝起きたときに手がこわばっていることが多く、手を振ると少しラクになるのが特徴の1つ。症状が進むと感覚が低下することもある。

中等症までは、手根管内へのステロイド注射が有効。一方、靱帯が厚く硬くなっている場合は、保存療法があまり効かないことが多いので、神経や腱を圧迫している靭帯を切開して圧迫を取り除く手術の対象になる。

⑥母指CM関節症

親指の付け根にある馬の鞍のような形の母指CM関節に変形が起こった状態。何かをつまむとき、瓶のふたを開けるときなどに親指の付け根に痛みが生じる。

母指CM関節は可動域が広く、不安定になりやすいので、固定装具で動かないようにしたり、関節内にステロイド薬を注射したりするのが効果的。

それでも症状が改善しない場合や再発・進行する場合は手術になる。関節をチタンで固定する「関節固定術」、痛みの原因となっている骨を摘出して人工紐などで固定する「関節形成術」を行う。

65歳までは悪化することも

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いずれの疾患にしても、いったん発症してしまった場合は65歳ごろまでは悪化する。が、65歳を超えると新たに発症することはないという。早期発見、早期治療、そして進行を抑えることが大切だといえそうだ。

「手指に何らかの症状がある方は、ぜひ気軽に手外科を受診してください。医療をうまく使うことで、健康で若々しい手を維持してもらえたらと思います」(岩城さん)

(取材・文/大西まお)

四谷メディカルキューブ・手の外科
岩城啓修医師

1996年杏林大学医学部卒業、北里大学形成外科に入局。2008年から板橋中央総合病院・2019年浜田山病院を経て、2020年より現職。専門は、手の外科・形成外科・整形外科。日本手外科学会専門医・指導医、日本形成外科学会専門医・領域指導医、日本形成外科学会再建・マイクロサージャリー分野指導医、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医。
東洋経済オンライン医療取材チーム 記者・ライター

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とうようけいざいおんらいんいりょうちーむ / TKO Iryou-Team

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