手指の関節痛は、骨や軟骨を守るエストロゲンの分泌量が減ると起こりやすいため、更年期以降の女性に多く見られる(詳しくは関連記事「50代の『指の関節痛』使いすぎとは違う意外な原因」をご覧ください)。
こうして手指の関節が痛くなったりこわばったりすると、関節リウマチを心配する人もいるかもしれない。関節リウマチも手指が痛む、腫れるなど似たような症状が起こるからだ。
「手指の関節痛と関節リウマチはまったく違います。関節リウマチは自己免疫疾患で、免疫異常によって免疫細胞が自身の軟骨や骨を破壊してしまう病気です。手指だけではなく体のさまざまな関節が痛くなる一方、手指の第一関節は痛くなりにくいといった特徴があります」(岩城さん)
手指が痛い場合は、手外科の専門医がいる整形外科を受診するのが一番で、X線検査や血液検査を行えばリウマチとの鑑別もできる。
へバーデン結節とブシャール結節
では、手指の関節痛や変形には、どのような種類があるのだろうか。
①ヘバーデン結節/②ブシャール結節
岩城さんによると、最も多いのは手指の爪側の関節である第1関節(DIP関節)に症状が表れる「へバーデン結節」、次に多いのが手指の真ん中にある第2関節(PIP関節)に症状が表れる「ブシャール結節」だ。
へバーデン結節だけ、あるいはへバーデン結節とブシャール結節の両方になることが多く、ブシャール結節だけということは少ないという。複数の指に起こることもあれば、1本の指だけに起こることもある。
「いずれも軟骨が変性することで、関節に痛みや腫れ、ゆがみなどが生じる病気です。X線写真を見れば、関節の骨と骨との隙間である『関節裂隙(れつげき)』が狭くなり、骨が変形することで棘(とげ)のような突起『骨棘』ができているのがわかります」と岩城さん。
「初期には軽い痛みや腫れ、こわばりがある程度ですが、悪化すると痛みが強くなったり、水ぶくれのような粘液嚢腫(のうしゅ)ができたりします。指の関節は回旋しながら曲がっていき、最終的にはその状態で固定されます。そうなると痛みはなくなりますが、関節は動かなくなってしまいます」
へバーデン結節やブシャール結節になったら、どのような治療法があるのだろうか。
「どちらもエストロゲンの減少が関係していると考えられているため、当院では初期で軽度の場合にはエクオール含有食品(サプリメント)を勧めています。場合によっては、末梢循環改善薬(ビタミンBの内服)や消炎鎮痛薬(ステロイドの塗り薬)を使ったり、テーピングを行ったりすることも。こうして、まずは保存療法を行います」(岩城さん)
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