さらにタレントのマネジメント業務を行うための新会社を設立。これまでのようにタレントが事務所と隷属的な関係に陥らないよう、欧米のようなエージェント契約とするとまで明言した。
「不祥事隠蔽の温床」と言われた同族経営を排除するため、新会社にはジュリー藤島前社長はいっさい関与しない。社名からも「ジャニーズ」の名を完全に排除。また、週刊文春が指摘したジュリー藤島前社長による「合法的な相続税回避策」まで放棄するという。
事実だけを見れば、まさに追及の余地のない完璧な回答なのだ。
ジャニーズ事務所が会見に備えた「守り」はこれだけではない。会見の「舞台装置」でも万全の体制をとっていた。「守り」の体制を構築するにあたり、前回の記者会見の教訓を大いに活かしていたようにも見える。
「1社1問」の制約が機能した
最大の守りの「舞台装置」が、会見時間と質問数の制限だ。9月の会見では時間を制限することなく、4時間以上にわたって質問に応じた。だが、今回の会見はその半分以下の2時間。質問も「1社1問」という制約が課されていた。
「1社1問」という制約は回答する側にとっては、安全装置の役割を果たす。というのも、登壇者はさらなる追及が飛んでこない「1問限り」であれば、立ち往生することはまずない。
そもそも今回、なぜ「1社1問」でなければならなかったのか。司会者は質疑の冒頭で、「会場の使用時間などお時間に限りがありますので、なるべく多くの方からご質問いただけますよう、1社1問でお願いします」と要請している。
今回のジャニーズ会見と同様、「1社1問」の縛りがある会見も存在する。たとえば、官房長官の定例記者会見だ。だが、官房長官の記者会見は毎日開催されており、その点で今回のジャニーズ事務所の会見はまったく事情が異なる。官房長官の会見と異なり、「次」はない(保証されていない)のだ。
本当にジャニーズ事務所が前回同様に対応する気があったなら、他の会場などいくらでもあったはずだ。組織防衛のための、いかにも「取ってつけたような理由」ではないか。
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