ジャニ会見、物議醸した「1社1問ルール」の魂胆 記者の追及をかわし、視聴者を味方につけた

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今回「1社1問」を破ろうとした記者は他にもいたのだが、ベテラン司会者の「壁」にことごとく止められた。

鉄壁の守り、それ以前にあった布石

さて、ジャニーズ事務所の「守り」だが、じつは会見の前から布石が打たれていた。私が注目したのは会見前日の日経新聞朝刊だ。この日の紙面には「日経らしからぬ」記事が大きく載っていた。

朝刊の3面に「ジャニーズ、補償と経営分離」という見出しの記事が躍った。会見の内容を先取りした日経のスクープだった。だが、なぜ日経が専門外の芸能スクープを取ることができたのだろうか。

可能性としては、3パターンがありうる。ひとつは日経の記者がジャニーズ事務所の経営陣と人脈を構築し情報を得た場合で、通常の取材活動と言える。

次に、ジャニーズ事務所の側が日経に大々的に取り上げてもらうため、情報を意図的に流したケースだ。いわゆる「リーク」と呼ばれる形態だ。

「リーク」によってメディアは「スクープ」を得ることになり、全社横並びの扱いより大々的に掲載する価値が出る。「リーク」は「掲載の最大化」を狙うための企業広報の常套手段なのだ。

そして最後は、日経がスポンサー経由で情報を事前に入手したというパターンだ。ジャニーズ事務所が重要なスポンサーに会見内容を事前説明する可能性は十分にある。そうであれば各企業に広範、かつ強固な取材網を持つ日経が真っ先に知るのは至極、当然とも言える。

さて、3つの可能性のなかで、どれが「正解」なのだろうか。

最も可能性が薄いのは、通常の取材活動だ。週刊誌、スポーツ紙には何十年もかけて培ってきたジャニーズ事務所との人脈がある。「新参者」である日経が入り込む余地は、ほとんどないのではないか。

そうなるとジャニーズ事務所によるリークか、スポンサー経由での情報しかない。私は、前者のリークの可能性が圧倒的に高いと見ている。

その根拠は2点ある。ひとつは日経記事の配信時間だ。スクープ記事はこのような書き出しとなっている。

「ジャニーズ事務所が会社を再編する方針を固めたことが30日、わかった。」

9月30日は土曜日だ。もしスポンサーに事前説明があったとすれば、平日である29日(金)までに行われるはずだ。そうであれば、日経が情報を入手するのは、その日の夜だろう。となると、記事は遅くとも30日(土)までに出ることになる。

だが該当記事では「30日(土)に情報を得た」と日経自ら述べているのだ。実際、記事化されたのは電子版が30日(土)21時、そして紙面は翌1日(日)だ。スポンサー経由で土曜日に情報を入手した可能性は皆無とは言えないが、相当に薄いのではないか。

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