ワークマン「吉幾三CM」から華麗なる転身の軌跡 おしゃれ路線にイメチェンできたのはなぜ?

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ワークマンの商品開発のキモとなっているのが、「アンバサダー」と呼ばれるインフルエンサーの存在だ。アンバサダーとの協業は2019年から本格化し、現在は約50人。

一般客向けのアウトドア・スポーツ用衣料に関して、SNSでキャンプ、バイク、釣りなどの情報発信をしているインフルエンサーにアイデアを募りながら商品開発を進め、足りないノウハウを補ってきた。今年6月には、インフルエンサーのサリー氏(本名・濱屋理沙氏)を社外取締役にも起用している。

一般客を拡大したことで、商品開発の重要性はさらに高まっている。職人の場合、決まった作業着や工具を繰り返し購入することが多いが「一般客向けのアパレルは通常、新規開業2~3年後に(客数の)ピークが来る。客数が減らないようアイテムを増やす必要がある」(土屋哲雄専務)。

作業とファッションの二刀流

アンバサダーのアイデアを元に開発。バイク乗りなど幅広いユーザーに愛用されるようになった(提供:ワークマン)

ワークマンの最新業態である「ワークマンカラーズ」では、新商品をより短いサイクルで投入するため、話題の中国発ファストファッション「SHEIN」を参考にしたという短納期生産の仕組み作りにも踏み込んだ。作業衣料だけのビジネスモデルでは、考えもしなかったファッション化への進化である。

ただし、機能性アパレルを武器に成長していくためには、ワークマンブランドの基盤となる作業着や職人客の維持と拡大が不可欠。カジュアルアイテムに「花粉に強い素材」「虫刺されしづらい素材」など、独自性を加えるのがワークマンのキモになるからだ。

ワークマンプラスが店舗数で最大となった今、祖業である「作業」に立ち返ることと並行し「ファッション」も追いかける。ワークマンが推し進める“二刀流”は、アパレル業界にどのような風を吹き込むのだろうか。

山﨑 理子 東洋経済 記者

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やまざき りこ / Riko Yamazaki

埼玉県出身。大学では中国語を専攻、在学中に国立台湾師範大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在小売り・アパレルを担当。趣味はテレビドラマのロケ地巡りなど。

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