競馬である。日本では10月1日に中山競馬場でスプリンターズステークス(第11レース、距離1200メートル)が行われ、秋のG1シリーズが開幕となる。
ようやく日本が名実とも世界一になるときがやってきた
だが、なんといっても、同日にフランスでは世界的なレースである凱旋門賞(パリのロンシャン競馬場、距離2400メートル)が行われる。長年、同賞制覇は日本競馬界の悲願であったが、雰囲気が変わってきた。ようやく正しい認識となったか。
というのは、昨年までは「強い馬は、とにかく凱旋門を目指す」という感じで、それにつられて「あっちもこっちも少しでもチャンスがあれば凱旋門賞」だったのが、今年はたったの1頭、しかも、日本でのG1勝ちのない牝馬、スルーセブンシーズ(5歳)だけだからである。最強馬たちは国内で秋の天皇賞やジャパンカップ(11月26日)を目指すか、海外でもアメリカのブリーダーズカップ(11月3~4日)を目指している。これは本当に正しい。
なぜなら、ロンシャン競馬場の馬場は、日本の高速馬場が世界的に異常である以上に、逆に異常に重すぎる馬場だからだ。しかも、この時期は雨が降りやすく、ほとんどのレースが重馬場で行われ、スピードを問うレースにはならないからである。
日本の高速馬場が特殊すぎて日本馬に海外の馬がまったくかなわないように、欧州以外で調教してきた馬は、ロンシャンでは実力の半分も発揮できない。実際、アメリカの馬の参戦も近年減っており、凱旋門を勝つことは、欧州の一部の馬にとってだけのステータスになりつつある。
前回の記事「中国不動産バブル崩壊が深刻化する『5つの理由』」で触れたディープインパクト産駒のオーギュストロダンですら、馬場が合わないから、凱旋門賞でなく、アメリカのブリーダーズカップを目指すことになった。やっと日本の競馬界も、真のグローバル化の時代、そして世界一を名実ともに実現するときがやってきたのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら