「外国人ドライバー」活用をはばむ3つのハードル 今の労働条件でどれほどの外国人が希望するのか
オーストラリアではタクシードライバーの平均年収が860万円に達し、アメリカでトラックドライバーの仕事に就けば、初年度から1500万円近く稼ぐことも可能だという。こうした事実が知れわたっている中で、同じ業務で平均年収400万円ほどの仕事を外国人が希望するのだろうか。
世界の人材獲得競争に負け始めている日本
今回の制度変更は業界団体からのプレッシャーを受けて動き出したのだろうが、ウラに透けてみえるのは、「働く条件さえ緩和すれば、外国人労働者が次々と押し寄せてくる」という前時代的な発想だ。
だが、もはやこの考えはまったく当てはまらなくなっていることを認識すべきだろう。ただでさえ日本は世界の人材獲得競争に負け始めている。働く魅力のない国になりつつあるのだ。その日本で、日本人の就職希望者すら限られる仕事に外国人がチャレンジしようとするだろうか。
まずは業界全体で、長時間労働と低賃金が常態化している構造的な問題にメスを入れていくことが先決だ。これらの問題解決を先延ばしにしたまま、「とりあえず外国人を連れてきて、目先の人手不足を解消しよう」と安直に考えるべきではない。
「日本人が魅力を感じにくい仕事に、選択肢の多いアジアの若者が就きたがるわけがない」。この当たり前の事実を前提に問題解決を図っていかなければ、外国人の受け入れ制度をいくら変えても「絵に描いた餅」に終わる可能性が高いことは強調しておきたい。
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