「外国人ドライバー」活用をはばむ3つのハードル 今の労働条件でどれほどの外国人が希望するのか
交通事情が違えば、当然ながら運転のルールや慣習も大きく異なる。そのため日本でドライバーとして独り立ちさせるには、母国と日本のルールや常識の違いについてもしっかり教えなければならないのだ。
タクシードライバーについては、接客のスキルも重要になってくる。客が自分と話をしたいのか、したくないのかを瞬時に見極め、当意即妙に対応を変えなければならない。空気を読んだり、相手の言葉の裏を読んだりする能力が必要になる。こうした日本人特有のコミュニケーション方法は、外国人が最も習得に苦労する点だ。
また、泥酔客やスピード違反を要求する客を乗車させることもあるだろう。そのときにどこまで「お客様第一」を貫き、トラブルなく対応することができるか。いずれにせよ、日本人社員より事前の接客教育に時間をかけなければならないのは確かだろう。
以上みてきたように、特定技能の外国人社員を受け入れた場合、免許を取得させるにしろ運転マナーや接客を教えるにしろ、日本人新入社員とは別のプログラムで一からじっくり教育する必要がある。想像以上に時間がかかるはずだ。
この間、その外国人社員に研修受講以外にどんな仕事をさせるのか。そして、そもそも慢性的な人手不足が続く当該業界の中に、長期スパンで外国人社員を育成できるほど受け入れ体制が整った会社がどれだけあるのか。クリアしなければならない課題は多いと言わざるをえない。
ドライバーの仕事を希望する外国人がどれだけいるか
(3)「仕事の魅力」のハードル
そして、じつは最も高いカベになりそうなのが「仕事の魅力」のハードルである。私自身今回のニュースを聞いたとき、率直に申し上げて「どのくらい希望する人がいるだろうか?」と直感的に思ってしまった。残念ながら現状は、日本のドライバー職に魅力を感じる人が多くはない。
たとえばトラックドライバーの仕事にしても、事故率が高くて危険というイメージを持つ外国人は少なくない。加えて日本のドライバー職は、低賃金で長時間労働を強いられる仕事であることは調べればすぐにわかる。働くための条件を緩和したとしても、チャレンジしたいと考える外国人がどれだけいるか。正直かなり疑問と言わざるをえない。
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