「外国人ドライバー」活用をはばむ3つのハードル 今の労働条件でどれほどの外国人が希望するのか

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不足するドライバー職(撮影:尾形文繁)

トラック、バス、タクシーのドライバー職に、外国人労働者を活用することが検討されている。各社報道によると、国土交通省は今年度中にも、在留資格「特定技能」の対象業種に「自動車運送業」を追加する見込みだという。

現在ドライバーとして働いている外国人は、永住者や日本人の配偶者といった「身分に基づく在留資格」を持つ人以外はほとんどいない。この制度変更によって、外国人労働者がドライバー職に就く門戸が大きく広がることになる。

トラック、バス、タクシーのドライバー職は、長時間労働のわりに賃金が安く、若者にも敬遠されがちだ。全産業平均と比べても平均年収は低めで、高齢化が進んでいる。人手不足は年々深刻になっており、東京商工リサーチが4月に実施した調査でも、「正社員不足」と回答した企業の割合は、「道路貨物運送業」で88.2%、「道路旅客運送業」では90.9%に達した。

外国人ドライバーの活用に立ちはだかるハードル

来年4月からは、これに2024年問題が追い打ちをかける。時間外労働の上限が年間960時間に規制されてしまうのだ。ドライバー職の人手不足は待ったなしの状況であり、国がこのタイミングで外国人ドライバーの門戸開放に踏み切るのは、ある意味必定だと言っていい。

しかし、外国人をドライバー職で活用するにはいつくかのハードルがある。特に今回検討されているのは、日本語レベルや日本在住期間の条件が厳しくない在留資格「特定技能」である。言語や慣習のハードルを乗り越えるのはそう簡単ではないだろう。

では外国人ドライバーの活用に立ちはだかる具体的なハードルとは何か。以下で3つほど指摘したい。

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