解けないと「勉強以前の問題」簡単すぎる東大入試 頭の良い人は「言葉に対する感度」を鍛えている

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もう1つ例を挙げましょう。「信用」という言葉と「信頼」という言葉の違いを知っていますか? これって同じような意味に見えて、実は全然違うんです。

「信用」は過去のその人の行動などを鑑みてできていくもので、「信頼」は未来のその人のことをどれくらい信じることができるかを考えるものです。クレジットカードは「信用」がないと作れませんが、「信頼」は必要ありません。逆にその人とずっと仕事をしていきたいと思うのならば、「信頼」されなければならないと考える必要があります。

このように、実はその人の考えが、「信用」「信頼」というちっぽけな漢字2文字でわかってしまうことがあるのです。頭の良い人はこの2つをしっかり切り分けて使っていますし、「なぜこの人は、信用という言葉を使ったんだろう?」「信頼という言葉を使わなかった意味はあるのかな?」と考えながら人の話を聞いているわけです。

「言葉に対する感度」が頭の良さを左右する

東大が求めている人材、そして東大に合格するくらい頭の良い人は、「言葉に対する感度を高くする訓練」を積んでいる人だと思います。

普段から人の話を注意深く聞き、相手の話をより深く理解しようと心がけ、逆に自分が言葉を使うときにはきちんとその言葉を使う必然性があるのかを意識をするのです。

このように言葉に対する意識が高いと、相手の意図をより深く、より高次元で理解することができるようになるのと同時に、問題も解くことができるようになると思います。普段から言葉に対する意識を高めることで、先ほどの「重要な資源=水」という発想ができるようになるわけです。

翻って考えてみると、僕は偏差値35のとき、言葉に対する意識が非常に低かったように思います。思いついたことを言って、「どうしてこの言葉を使ったのか」と聞かれても答えられないような話し方をしていたのです。

いかがでしょうか。「頭を良くする訓練として、言葉に対する意識を変えてみるべきだ」という話でした。

例えばこうした記事を読んでいるとき、相手から話を聞くとき、本を読むとき……さまざまな場面で、「頭を良くすることができるきっかけ」があります。みなさんその時間をぜひ、大切にしてみてください。

西岡 壱誠 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当

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にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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