「国語ができない社会人」が理解できない会話4選 言葉の裏側にある相手の意図をどう読み解く?

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「交通費がないんだ。1万円貸してくれる?」「さすがに……」

と言ったら、これはただ相手の話を否定しているわけではありません。相手の話に対して一定の共感を示した上で、それでも共感できる「一定」のラインを超えているので、否定せざるを得ないということを示しています。

あえて言葉で表すならば、「さすがに」=「1万円を貸して欲しいというあなたの考えはある程度は理解できるところもあるが、しかしそれでも、程度が過ぎていると思うので、私にはどうしてもので1万円を貸すことはできない」という意味になります。

もっと解釈するなら「交通費が必要だというのはわかる。だけど、1万円は高すぎるんじゃない? せめて、3000円とかだったら貸してもいいけれど」という意味で「さすがに」だと考えられます。

すべての日本語は、言葉通りではない

いかがでしょうか? すべての日本語が、本当に「言葉通り」の意味なのであれば、たしかに国語の勉強を頑張らなくても大人になってから困ることはないでしょう。しかし、そういうわけではないのですから、しっかり国語の勉強をしておかないといけないわけです。

同時に、短い言葉の中にいろんなニュアンスを入れることができるようになったら、簡潔に物事を伝えることができるようになるでしょう。

相手の話を理解し切れないことが多い人や、相手に対して簡潔に物事を伝えたいと感じる人は、ぜひ、大人の方であっても今から国語の勉強をしてみてもらえればと思います。

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辻 孝宗 西大和学園中学校・高等学校教諭

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つじ たかむね / Takamune Tsuji

西大和学園中学校・高等学校教諭。1975年生まれ。岐阜出身。国語科教師として、20年余り、西大和学園の国語を率いている。常に新しいスタイルで展開される授業の人気は高く、定員40人の放課後講座に280人が申し込んだことも。その授業は楽しいだけでなく、最小限の努力で常に学年を全国1位にするので、生徒だけでなく教員にも信奉者が多い。

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