糖質制限で便秘になる恐れも
昨今は、米やパンなどの主食を控える、いわゆる糖質制限をしている人も多い。「糖質制限を始めてから便秘気味になった」という声もよく聞く。
「糖質のなかにはグルコース、ガラクトースなど、腸の動きをよくする成分が含まれています。これらは便秘薬の成分にもなっているほど、排便に深くかかわっています。むやみに糖質をカットしてしまうと便秘になりやすくなるので注意しましょう」(鳥居医師)
●腸内細菌
日々の便通は腸内細菌とも関係が深い。腸内細菌には、体にいい働きをするビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌と、腸内で有害物質を作り、腸の働きを弱めるウェルシュ菌や大腸菌などの悪玉菌がいる。善玉菌は悪玉菌の増殖を抑え、乱れた腸内細菌のバランスを整えてよりよい便通を促す。
善玉菌を増やすには、ビフィズス菌や乳酸菌が含まれるヨーグルトや乳酸菌飲料など善玉菌そのものであるプロバイオティクスの摂取が有効だ。手軽にそれらを摂取できるサプリメントなどを利用してもいいという。
善玉菌のエサとなり、善玉菌を増やす働きがある食物繊維やオリゴ糖などのプレバイオティクスを同時に摂取するとさらに効果が高まる。
「ヨーグルトや乳酸菌飲料、サプリもさまざまな種類が売られていますが、人によって体質に合うものと合わないものがあると思います。いろいろと試してみて、自分に合ったものを探してください。体質に合えば、2週間程度でお腹の調子の改善が見られ、便秘予防・解消効果が感じられると思います」(鳥居医師)
「便秘薬を使ってやせる」とうたう過激なダイエット法を、若者を中心に耳にすることがある。便秘予防の観点からはどうなのだろうか。
「便秘の治療目的ではないところで、センナなどの刺激性の便秘薬を使ってむりやり排便して一時的に体重が減ったとしても、ほとんどは大腸で吸収されなかった水分です。ダイエットとはいえません。むしろ、センナは常用していると、だんだん効きにくくなる恐れがあります」(鳥居医師)
●適度な運動
便秘予防・解消の生活習慣では運動も大切だ。「適度な運動は便秘薬に匹敵する」と鳥居医師は言う。
「腸の動きをよくしてお通じを促すのは、やはり運動です。昨今はリモートワークで家にこもりがちな人も多いと思いますが、なるべく何か用事を作って外に出ましょう」
座りっぱなしの生活も問題だ。全身の血流が悪くなると腸の動きも悪くなって、便秘の原因になる。「腸を刺激するためにも、毎日5~10分でもいいので、歩いてほしいです」と鳥居医師。
便秘予防・解消には優位になった交感神経を鎮めることも大切だ。それには、ゆっくりした速度でのウォーキングなど、同じ動作の繰り返しが効果的だという。
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