便秘なら「食物繊維を摂ればOK」と考える人の盲点 むやみに糖質や油を制限すると排便に悪影響も

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「便秘の人は腸の蠕動(ぜんどう)運動などの働きが弱まっているため、不溶性食物繊維を摂りすぎるとお腹が張ったり、逆に便秘が悪化したりすることもあります。便秘気味でお腹が張りがちな人はなるべく不溶性食物繊維を控え、水溶性食物繊維を多めに摂ったほうがいいでしょう」(鳥居医師)

水分補給と油分摂取で便を軟らかく

●水分補給

便秘予防・解消には、食物繊維の摂取に加えて、こまめな水分補給や適度な油分の摂取も大切だ。「腸の働きは本来、正常なのに、そもそも水分の補給が足りなくて便秘になっているケースも少なくないです」と鳥居医師は言う。

便を軟らかくするのに欠かせないのは水分だ。便の硬さがほどよいバナナ状の便では、70~80%の水分が含まれている。それよりも多いと泥状になり、90%を超えると水様性の状態になる(いわゆる下痢便)。逆に70%よりも少ないと硬くなり、60%以下になると非常に硬い便になってしまう。

便をほどよい70~80%の水分量にするには、どのくらいの水分を摂ったほうがいいのか。

「目安は1日1.5リットルです。通常、食事で1リットル程度の水分を摂れるので、あと500ミリリットル程度を飲み水で補給しましょう。のどが乾いたらこまめに水分を摂ること。利尿作用のあるカフェイン飲料は避け、ウーロン茶、麦茶や黒豆茶、ルイボスティ、ハーブティなどのノンカフェインのお茶や水がいいでしょう」(鳥居医師)

季節による注意点もある。

暑い夏はたくさん汗をかくので、水分摂取を心がけていても水分が不足しやすい。一方、冬は逆に気温が低いので喉が渇きにくく、水分摂取の回数が減りがちになる。冬場はさらに、寒さで体が緊張して交感神経が優位になりやすく、便秘になりやすい状況も重なる。1年を通して、こまめな水分補給の工夫が必要だという。

鳥居医師がおすすめするミネラルウォーターのタイプがある。

「コントレックスなどの硬水です。マグネシウムを多く含むため、便を軟らかくし、胃腸の働きを高める作用があります。便秘の解消・予防に効果が高いので、便秘気味であれば試してみてもいいでしょう」(鳥居医師)

●油分摂取

便秘解消・予防には油分も重要だ。「オリーブオイルが便秘に効く」とちまたでよく聞く情報は「間違いではない」(鳥居医師)という。もちろん、カロリーオーバーになるので摂りすぎには注意が必要だが、オリーブオイルやゴマ油、サラダ油などの適量の油分は腸の蠕動運動を高め、便を排出しやすくする。

そのため、鳥居医師は「油抜きダイエットは便秘になりやすい」と警告する。

「ダイエットによって、便のかさになる食事だけでなく、油分も控えてしまうと、非常に便秘になりやすくなる。おすすめしません。ダイエット中も適度に油分は摂るようにしましょう」(鳥居医師)

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