「数字とファクト」で経営する社長が残念な理由 一流の経営者はなぜナプキンに図を描くのか
ちなみに、彼らの描いた図が、ナプキンの裏に描ける程度のものだったことは、大変示唆に富みます。ナプキンの裏には長い文章をダラダラとは書けません。経営において大切なのは情報量ではないということです。
ファクトや数字からなる膨大な資料よりも、よりよい経営を考える上で必要なのは、ナプキンの裏に描く程度の図。成功のためのメカニズムやモデル、ネットワークといった「勝ちパターン」は、ちょっとした図を描くことで手に入ることがあるのです。
図を描いて経営を考えることのメリット
図を使いながら考えると、思考の「見える化」ができ、論理の抜け漏れが見えてきます。
それに図は、頭の中でイメージしやすく、いつでもどこでも頭の中で引っ張り出してきて、粘ちっこく考えることも可能になります。
また、図を描くと、モノゴトのビッグ・ピクチャー(全体像)や、論理の関係性や、そこに作用するダイナミズムが浮き彫りになります。だから図を「ぐっ」とにらんでいると、現象の裏にある本質や、そこから導き出される未来に気付くこともあります。
もちろん図は、一人で考えるときだけでなく、複数の人と議論する際にも威力を発揮します。みんなでホワイトボードを囲んで議論すれば、議論そのものが「見える化」され、腹落ちする共通認識をつくったり、新しい発想を得ることにもつながります。
さらに図を描くことで、長期的なメリットを享受することもできます。「これはすごくいい図だなぁ」と思ったものを「モジュール化」して手元に蓄積できるからです。そんな図のストックを増やしていけば、新しい問題に直面したときに、アナロジーを働かせることができます。
最近ではビジネスへの影響因子として、社会貢献や環境、コンプライアンス、さらには地政学的な要素などが加わりました。考えなければならないことの増殖は止まりません。
ますます正しい答えが見えにくくなっています。それでもビジネスの世界では、迅速な意思決定を日々していかなければならない。我々はそんな矛盾に直面しています。
それゆえ私は、ますます「図で考える」アプローチが重要になってくると考えています。表層的なことにとらわれず、本質的なメカニズムを見据えないと、根本的な解決策やアイデアに近づくことはできないからです。
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