「宗教」と「優れた企業経営」には実は共通点があり、「現代の強い企業」は、いい意味で「宗教化」していく。
それらの主題をもとに、世界の宗教事情に精通したジャーナリストの池上彰氏と、『両利きの経営』の解説者で早稲田大学教授の入山章栄氏が語り合った『宗教を学べば経営がわかる』が発売された。
同書を再編集しながら、「宗教」と「優れた企業経営」を理解するうえで最重要理論のひとつ「センスメイキング理論」に触れつつ、「いま話題の『両利きの経営』とは何か、今さら聞けない基本」について、「命名者」の入山氏が解説する。
イノベーションの基本理論が「両利きの経営」
言うまでもなく、イノベーション創出は、日本企業だけでなく、世界中の企業の課題となっている。
イノベーションとは技術的なものだけではない。「企業が新しく世の中に価値を生み出す」ことは、なんでもイノベーションと捉えていただきたい。
日本が平成の「失われた30年」を経験した最大の理由は、日本企業にイノベーション創出力が足りなかったからだと私は考えている。
1990年代のバブル崩壊を経て多くの企業が縮小均衡に陥り、それまで現場改善を中心とした「日本型経営」の強みとされてきたものが、大胆なイノベーションが必要な時代にむしろ足かせとなったのだ。
イノベーションの重要性は、今後さらに加速する。これからの変化の激しい時代は、絶えずイノベーションを起こす企業でないと生き延びられない。逆にいえば、イノベーションを絶えず起こせる企業には、明るい未来が待っている。
とはいえ、それは容易ではない。
だからこそ、多くの日本の経営者・ビジネスパーソンから、イノベーション創出に最大の注目が集まっているのだ。
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