「宗教」と「優れた企業経営」には実は共通点があり、「現代の強い企業」は、いい意味で「宗教化」していく。
それらの主題をもとに、世界の宗教事情に精通したジャーナリストの池上彰氏と、『両利きの経営』の解説者で早稲田大学教授の入山章栄氏が語り合った『宗教を学べば経営がわかる』が発売された。
同書を再編集しながら、「宗教」と「優れた企業経営」を理解するうえで最重要理論のひとつ「センスメイキング理論」に触れつつ、「日本の社長は任期が短すぎることの問題点」と「独裁になるのでは?という懸念についての解決策」を入山氏が解説する。
「トップの任期の短さ」が足かせに
前回の記事(「いい意味の"宗教化"」が日本企業に足りなすぎだ)で述べたとおり、日本企業の多くは、いい意味での「宗教化」が足りない。
センスメイキング(宗教化)が浸透しないため、企業は「遠い未来へ」の腹落ちができず、結果、リスクがとれず、イノベーションが創出されないという状況に陥っている。
では、日本企業が「いい意味で宗教化」するうえで、カギは何か?
私からひとつ重要な論点を挙げたい。
これは特に大手・中堅の伝統的な企業(特に上場企業)に向けてのものだが、これらの企業の最大の課題は、経営トップの在任期間が任期制になっており、しかも短いことだ。
たとえば大手上場企業の中には、社長の任期が2年2期あるいは3年2期などと決まっているところが多い。
しかし、よく考えてほしいのだが、自身の任期が最長4年と決まっているトップが、「長期の未来への腹落ち」をさせることが可能だろうか?
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