どう見ても、自分の任期内のことしか考えられないので、「センスメイキング」は不可能なのだ。教祖の在位が4年で終わると決まっている教団では、信者は腹落ちできないのである。
実際、私の周りでイノベーションを引き起こしている日本企業は、トップの任期が長い。
だからトップが「遠い未来の視点」を持つことができ、社内外に自分の描く遠い未来を浸透させ、「腹落ち」させ、結果として社員が「知の探索」を行い、やがてイノベーションを生んでいくのだ。
経営者から社員まで全員「腹落ち」している会社は強い
たとえば大阪に本社を置くロート製薬は、イノベーションを起こしながら今もどんどん成長している。
もともとは目薬など医薬品中心の企業だったが、少し前からはスキンケア分野に参入して、「機能性スキンケア製品」というイノベーションを起こしている。
女性の方なら、「オバジ」「メラノCC」「肌ラボ」などの製品をご存じだろう。あれらはロート製薬の製品だ。
実は私は同社の社外取締役なのでよくわかるのだが、なぜロート製薬がこれだけのイノベーションを生み出せるかというと、経営者から社員までが同社のやるべきこと、作るべき未来に腹落ちし、「知の探索」を絶え間なく続けていることが大きい。
いい意味で「宗教化」しているからこそ、イノベーションを生み出せているのだ。
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