ジャニタレCM対応、モスとJCBで明暗分かれた理由 消費者コミュニケーションの巧拙が問われた
そもそも「年間キャラクター」として迎える以上は、かなり前からスケジュールを組んでいたはず。もしかすると、クリスマス商戦などについても、大幅な戦略見直しや金銭的損失があるかもしれない。そう考えると、同情の余地は否めない。
事務所とタレントを切り分けて考える是非
CMへの起用継続を決めた企業も、その対応は千差万別だ。読売新聞オンライン(9月11日配信記事)は、健栄製薬による「起用しているタレントが被害に遭っていた場合、契約を打ち切ると二度苦しめることになってしまう」というコメントとともに、契約満了まで継続起用の方針だと伝えている。
事務所とタレントを切り分けて考える是非は、ここ最近よく議論されている。読者の中にも「うわさレベルであっても、知っていたなら同罪」や「性加害が認められてもなお、事務所に所属しているなら、相応の処分を受けてしかるべき」といった意見はゼロではないだろう。かたや、「事務所やプロデューサーと、タレントは無関係」との声もある。
ビジネス展開として、国内と海外のどちらに重きを置いているかも、対応を分けるだろう。ジャニー氏の性加害をめぐっては、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会が当事者らへのヒアリングを行い、「深く憂慮すべき疑惑が明らかになった」などの報告としてまとめている。「国際社会からの目」を考えたとき、人権軽視と判断される企業との取引は、あまりにもリスクが大きい。国内資本か外資かも、分かれ目になるだろう。
今回のコラムでは「エモい」企業コミュニケーションの有用性について書いてきたが、これも万能ではない。感情を揺さぶる表現は、ときに論点をボカして、受け手をケムに巻いてしまう。JCBやアフラック生命保険については、現状そのような声は見られていない印象だが、エモいコミュニケーションは、斜に構えている人が見た時に、「上手いこと言って、大衆を言いくるめた」ように受け取られる危険性もある。
しっかり問題の本質を見極め、責任を切り分けたうえで、エモさを「ほどよいスパイス」として散らせるか。そこに企業のPR力が試されると、筆者は考えている。
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