近年は解析技術の進歩によって、尿からより多くの情報を得る方法が登場しつつある。「尿中バイオマーカー」ともいうが、その1つとして尿タンパクが出る前に腎臓病の発症を予測する方法が、すでに診療現場でも使用され始めている。
最新の尿検査、がんの発見は?
結果が異常だったときの対応などが確立されていないため、現状では一般的な検査にはなっていないが、これからの展開が期待される。
このほか、尿を遠心分離器にかけて沈殿した成分を顕微鏡で調べる「尿沈渣検査」では、沈殿物からAIが病気を判定する方法もある。
最近注目されている新しい尿検査として、嗅覚にすぐれた線虫を利用して、がんを早期発見する検査があるが、どうなのか。
臨床研究の結果によると、がん患者を「がん」と判定する確率(感度)は86.3%、健常者を「がんではない」と判定する確率(特異度)は90.8%。また、胃がんなどの5大がんを含め、現在15種類のがんに反応する。
これについて坂井医師は、「がん検診を受ける人のほとんどはがんでなく、健康な人です。こうした報告を考慮すれば、がんではないのに陽性となるケースは約10%、がんなのに陰性となるケースは約14%です。たとえ陰性でもがんがないとは言えません」と話し、さらにこう続ける。
「また、陽性ではがんではないケースもあるうえ、陽性になった場合、そのがんが特定されていない状況では、結局、可能性のあるがんについて多くの検査を受けることになります。こうした課題もあり、より確実な有効性を示せるかどうかが、今後より普及するかどうかのカギとなるのではないでしょうか」
(取材・文/中寺暁子)
坂井正弘医師
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