稀ではあるが、膀胱がんなど尿路系悪性腫瘍の場合もある。また、IgA腎症といって、腎臓の糸球体にIgAというタンパク質が沈着する、いわゆる慢性腎炎という病気だったりすることもある。ただし、坂井医師によると、陽性であっても原因がわからないケースが半数近く存在するという報告もあるそうだ。
●尿糖
尿の中に含まれる糖分「尿糖」では、主に糖尿病かどうかを見る。
すい臓から出るホルモンのインスリンは、血液中の糖(ブドウ糖)を細胞に取り込む働きがある。ところが、このインスリンが十分に働かないために、血液中に糖分があふれた状態を高血糖といい、それにより尿中へ糖が漏れ出て尿糖として検出される。
尿糖は高血糖によるものが多いが、陽性となっても血糖値は高くないこともある。この場合は一時的な尿細管の機能低下による「腎性糖尿」などが考えられる。
尿検査の受け方や結果の見方
まず受け方だが、朝イチ(起床後すぐ)の尿を採るのが基本。健康体でも日中、体を動かすと尿中にタンパク質が漏れ出ることがあるからだ。また、女性の場合は月経血が尿に混じってしまうことで、正確な診断が得られにくい。月経中や月経の前後3日間は避けたほうがいいそうだ。
尿検査の項目は前述した「尿タンパク」「尿潜血」「尿糖」の3つが基本で、それぞれ「-」「±」「+」「2+~4+」などの結果が示される。
日本予防医学協会では、尿タンパク、尿潜血では「+」なら要経過観察、「2+~4+」なら要精密検査としている。要経過観察とは、「体調に配慮し、変化を感じた場合には次の健診を待たずに医師や保健師等に相談」と(同協会)とある。
坂井医師も、「+」以上ならなるべく内科で相談してほしいと話す。「本来は尿に混ざらないはずのタンパク質や血液が出ているわけですから、何かしらの異常がある可能性があります」。
特に尿タンパクは、少量でも将来透析が必要になる末期腎不全や脳卒中、そして心筋梗塞などの心血管疾患の発症リスクが増すといった報告があるという。腎機能が正常であっても「+」以上の尿タンパクが続いていると、腎不全への進行リスクは約20倍程度になるといわれる。
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