「そもそもタンパクが尿中に出続けること自体も問題です。本来ならろ過されないタンパクが漏れ出ることで腎臓にも負担がかります。そのため、腎臓病を悪化させることにもなるのです」(坂井医師)
尿タンパクが「4+」になると尿中にタンパクが大量に出る病気「ネフローゼ症候群」など危険な腎臓病の可能性がいっそう高まる。
受診先について坂井医師は、尿潜血の結果と合わせて、尿タンパクが陽性なら腎臓内科、尿潜血が陽性なら泌尿器科、両方とも陽性なら腎臓内科を専門とする病院への受診がすすめられる、とのことだ。
一方、尿糖は「+~4+」で要精密検査となっている。尿糖は単独ではなく、空腹時血糖値やヘモグロビンA1cなどの血液検査とあわせて確認する。血液検査が正常であれば糖尿病の可能性は低いが、前述したように腎性糖尿などの場合もあるので、「+」以上であれば内科を受診したい。
尿検査で引っかかったら、病院では再度尿検査をする。病気以外の原因で一時的に陽性になることも多いからだ。特に尿タンパクでは「起立性タンパク尿」だったということが少なくない。
「起立性タンパク尿とは、体を動かしたときに生理的に出るタンパク尿で、病気ではありません。特に思春期のやせ型の子どもに多くみられます」(坂井医師)
そのほか、風邪を引いたとき、発熱したとき、尿路感染症などで炎症があるときなどにも一時的に尿タンパクが出ることがある。
3大項目以外の尿検査
再検査で陽性なら、尿中のタンパク質の量を測定し、1日0.5g以上であれば、精密検査へと進む。0.5g以下でほかに異常がなければ2~3カ月後に再度経過をみるのが一般的だ。ただ、尿潜血を伴っている場合、より低い数値でも精密検査に進むこともあるという。
なお、尿検査の項目には基本の3項目のほかに、「尿ウロビリノーゲン」「尿ビリルビン」「尿pH」「尿比重」といった項目が記載されているところもある。それぞれについては以下の通りだ。
いずれも肝炎や肝硬変など、肝臓や胆のうの病気があると陽性になるが、血液検査による肝機能の値とあわせて見ることが基本となる
・尿pH
継続的に酸性に傾いていたら、糖尿病や痛風など、アルカリ性に傾いていたら尿路感染症や腎臓病などの可能性があるが、尿pHだけで病気の有無を調べることはできない
・尿比重
尿中に溶けている物質の重量を示すもので、比重が基準値よりも高くても低くても何らかの病気を発症しているサインとなる。
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