●尿タンパク
最も重視される項目の1つが、尿の中に含まれるタンパク質を示す「尿タンパク」だ。腎臓に流れてきた血液は、腎臓内の糸球体という組織でふるいにかけられ(ろ過され)、尿細管でさまざまな物質の交換が行われて、最終的に不要なものが尿となる。
腎臓を出た尿は尿管を通って膀胱に送られ、容量がたまると尿意が起こり、尿道から体の外に排出される。
尿タンパクが出る原因として最も多いのが、腎臓の機能が低下していく腎臓病だ。坂井医師は次のように説明する。
「タンパク質は体にとって必要不可欠なものなので、本来は尿に含まれません。しかし、糸球体や尿細管に炎症が起きていたり、糖尿病や高血圧によって糸球体を構成する毛細血管の機能が低下していたりすることで、血液をふるいにかける機能などに問題が起こると、タンパク質が尿に漏れ出てしまうのです」
腎臓の機能が低下した状態が3カ月以上続くと「慢性腎臓病(CKD)」となり、進行すると腎不全となって、透析が必要になることもある。また、腎臓の機能が正常であっても、尿タンパクが続いているだけで慢性腎臓病と診断され、精密検査や血圧、血糖などの管理が必要となる。
慢性腎臓病は糖尿病や高血圧などの生活習慣病とも関連していて、成人の8人に1人、80代では2人に1人は発症しているといわれる身近な病気だ。進行するとむくみやだるさ、頭痛といった症状が出るが、初期には自覚症状がない。そのため、尿検査によって早期発見、早期治療することが重要になる。
プロテインの摂り過ぎで陽性?
頻度は低いが、腎臓病以外の原因で尿タンパクが陽性になることもある。その1つは血液中のタンパク質の量が異常に多く、腎臓でろ過しきれずに漏れ出るケースだ。
「生理的なものでは、プロテインのサプリメントを1日3~4回摂るなど、タンパク質を過剰摂取すると、漏れ出る可能性があります。また、病的なものとして、多発性骨髄腫など全身性の病気によって、血液中に特定のタンパク質が増えることもあります」(坂井医師)
そのほか、まれではあるが膀胱や尿管からタンパク質が漏れ出て、尿に混ざるというケースもあるという。
●血尿
尿タンパクと同じくらい重視される項目が、尿の中に含まれる血液「尿潜血」、いわゆる血尿だ。血尿は肉眼で確認できることもあるが、尿検査をしなければわからない「顕微鏡的血尿(顕微鏡で見て初めて見つかる血尿)」もある。
尿潜血が陽性のときに頻度が高いのが、膀胱炎などの尿路感染症、前立腺肥大、尿路結石だ。残尿感や頻尿などほかの症状も出やすいが、尿潜血が陽性となって初めて見つかるケースもあるという。
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