大隈:給食は毎日のことで、どうしても現場は日々の作業に追われ、往々にして楽なほうに流されがちです。だから、遠藤先生が言われるように、「本社が現場を褒めること」と「オープン・アイズ(現場の目を外へ開くこと)」の仕組みの両方が必要だと感じています。
遠藤:ええ、現場が分散していても、ほかの現場の意欲的な取り組みを共有することができれば、競争意欲は自然と生まれます。一般企業の現場にも同じことがいえますよね。閉じこもりがちな現場の目線を外に向けることによって、現場の持つ潜在的なエネルギーに火がつきます。
大隈:当社も、創意あふれる給食を「褒める仕組み」を導入してからは、ある事業部では事例報告件数が年間19件から484件へと一気に増え、目標の360件を大きく上回りました。
遠藤:もともと、創意工夫する現場力のある会社だったのですね。
大隈:おかげさまで、最近は栄養士や調理師たちの間で、遠藤先生の「見える化」や「現場力」という言葉が流行していますよ(笑)。
遠藤:光栄です。本社が現場に目を向け、現場が工夫した「作品」を発表・共有する場ができたことが、現場力に火をつけているのですね。
「-1」ではなく「+99」に着目する
大隈:それまでの責任者会議は、お客様からのクレームや調理現場のミスを集めて、その対応策を練ることが多かったのです。それが「褒める仕組み」を入れてからは、現場の雰囲気も明るく、前向きになったようです。
遠藤:給食事業を含め、サービス業界ではいまなお「100-1=0」、つまり「ひとつのミスで全部がダメになる」という考え方が主流です。「-1」をなくす努力は大事ですが、同時に「+99」に目を向けることも大切ですね。
大隈:私たちも、以前は「-1」をなくそうとばかり考えていました。でも、それだと、給食をつくる現場では、ギスギスした雰囲気に陥りがちです。
遠藤:「いい仕事」をしている「+99」に目を向け、褒めることによって、結果として「-1」がなくなっていくと思っています。
大隈:先生の考え方のほうが、私も共感できます。本社が現場を褒め始めてから、会議も前向きなものになり、出席率も上がったのですよ(笑)。
遠藤:「-1」にこだわると、どうしてもモグラ叩きになり、むしろ「−1」がいつまでもなくならない。それよりも、「+99」を生み出している現場を褒め、競争力を前向きに高めるほうが、はるかに健康的だし、間違いなく現場は活性化します。世界に誇る給食の会社を、さらにレベルアップさせていってください。
(撮影:田所 千代美)
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