『現場力を鍛える』『見える化』など数々のベストセラーがある遠藤功氏が、「10年間の集大成」として出版した『現場論――「非凡な現場」をつくる論理と実践』が、発売20日で3万部突破とベストセラーになっています。
「日本企業の強さは現場力にある」という視点から、現場力を鍛える仕組みをわかりやすく読み解いた1冊で、「私の職場でも応用できるヒントを見つけた」「現場で働くことが楽しくなった」などの声が、読者から多数届いています。
新刊のベストセラーを記念した特別不定期連載の第3回目は、新刊でも「ケース」と「ミニ事例」で取り上げた、宅急便のヤマト運輸です。
「スキー宅急便」や「ゴルフ宅急便」などの革新的サービスを実現してきた、同社の「現場の気づき」から着想する需要創造力を、遠藤氏に解説してもらいます。
「現場の声」を基幹事業に育てる
「ヤマト運輸のすごいところはどこだと思いますか?」
みなさんはそう聞かれたら、どう答えるでしょうか?
「指定した日時に、きちんと荷物を届けてくれる」
「電話1本で、再配達してくれて、とても便利」
そう答える人も多いかもしれません。しかし、この大競争時代にそれだけのサービスでは、年間16億7000万個もの荷物を扱えません(2013年度の「宅急便」の取り扱い個数)。ましてや、宅配業界で市場シェアトップであり続けることなど不可能でしょう。
私が同社で最もすごいと思う点は、「現場の声(VOG=Voice of “Gemba”)」を新たな商品やサービスに転換し、新たな需要を掘り起こし、それを基幹事業に育て上げていくことです。
まずはそこから解説したいと思います。
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