大隈:クリスマス気分を盛り上げるために、調理師たちが画用紙で手作りして、給食の容器などに飾り付けをする現場もあります。献立作りは小学校の栄養士さんの仕事ですが、それを実際にどう作り上げるのか、どうおいしそうに見せるかは、いずれも調理師さんたちの腕の見せどころです。
遠藤:食事は、料理だけでなく盛り付けや飾り付けも大事ですよね。給食の中身以外にも、いろいろ手間暇をかけるのですね。
大隈:それも本社の指示ではなく、現場で働く調理師たちの「創意工夫」です。子どもたちが「すごい!」と喜んでくれる姿を見ると、調理師も感動するようです。給食を入れる食缶に、子どもたちからのお礼が書かれた付箋がびっしり貼り付けられて戻ってくるケースもあったと聞いています。
「感動した!」スタンプでモチベーションを上げる
遠藤:子どもたちとの交流が、現場で働く調理師のみなさんのモチベーションを支えているわけですね。現場で働く人の「創意工夫」を生み出すための秘訣は何でしょう?
大隈:以前から、意欲的なメニューを本社に報告する仕組みはありましたが、本社から個別にコメントは返していませんでした。そこで、こまめに「現場を褒める仕組み」を導入したのです。
遠藤:具体的にはどのような取り組みですか?
大隈:現場ごとに自信作を写真付きレポートで送ってもらい、本社が「感動した!」などと書かれた「お褒め」スタンプを押し、評価する形にしました。それを冊子にまとめて、全事業所に毎月配布しています。
遠藤:子どもたちとの交流と本社が現場を「褒める仕組み」、その2つが現場で働く調理師のモチベーションを高めるきっかけになっているのですね。手間暇を惜しまない学校給食は「日本のハイレベルな現場力」の象徴だと思います。
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