そして、なぜこれだけ婚姻数が激減したかと言えば、20代など若者の婚姻数の激減によります。巷では「晩婚化」などと言う政治家や識者がいますが、実際に「晩婚化」などは起きていません。
「晩婚化」というのであれば、かつて20代で結婚していた層が30代や40代で結婚するという結婚時期の後ろ倒しになっていないといけませんが、実際は30~40代の婚姻数は増えておらず、単純に20代での婚姻数が減っているだけなのです。
つまりは、「晩婚化」ではなく「若者が若者のうちに結婚できなくなった」というのが、この婚姻減の本質的な原因となります。
「不本意未婚」が増えていることのほうが問題
「結婚できなくなった」という言い方をすると「いや、選択的に非婚を選択する若者が増えているのだから、若者の結婚価値観の変化のせいだ」という識者も見かけるのですが、確かに「選択的非婚」の割合が増えていることは否定しません。昔ほど「結婚すべき」という社会の圧も少なくなっています。
しかし、全員が自ら選択して「結婚しない」と決めた人たちではありません。むしろ「本当は結婚したいのにできない」という「不本意未婚」が増えていることのほうが問題なのです。
以前、『「不本意未婚」結婚したいのにできない若者の真実』の記事で書いた通り、20~34歳の「不本意未婚」の割合は男女とも4割を大きく超えます。
出生動向基本調査より、男女年齢別の「結婚前向き率」を割り出して1992年と2015年で比較したものが以下のグラフです。出生動向基本調査は2021年が最新ですが、2021度版では年齢別の結婚意思の原票が公開されていないので2015年の数値を使用しています。
「結婚前向き」とは「1年以内に結婚したい」と「理想の相手となら結婚してもいい」と回答した合計です。
これによれば、1992年時点では、女性は25~34歳、男性は30~39歳に結婚前向き率が最大値となっており、男女間で5歳の開きはありますが、結婚に対する意欲はバランスがとれていたと思います。事実、当時の初婚において、夫年上婚が主流でした。
しかし、2015年になると、女性の最大値範囲は25~34歳へとやや後ろ倒しになったものの結婚前向き率自体は変わっていないのに対し、男性は最大値の年齢帯自体は30~39歳で1992年と変わらないのですが、全体的に結婚意欲が減退してしまっている点が注目されます。
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