リアルで4万人を集めた「VRイベント」の成功要因 「観光客が集まる地域」でのアピールが肝か

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2018年8月に第1回目が開催され、今回で10回目となるイベント。のべ100万人以上を集客した回もあった。今回の集客数はのべ120万人を突破。日本だけではなく世界中からVRに慣れ親しむユーザーが集った。主催したHIKKYによれば、過去最大人数の集客を記録したという。

しかし、これほどの大規模イベントでも、メタバースの中のトレンドは話題としにくいのかメディアで取り上げられるのはまだ少ない。SNSで言及するユーザーは多いが、同じ趣味を持つユーザー間の情報や感想のやりとりで終始しており、メタバースの外側に向けての情報発信は限られていると感じる。

短時間の体験コースが功を奏した

前述したように、現実のイベントホールでのバーチャルマーケット開催は、仮想空間であるメタバースと現実空間を繋げるのが目的だ。

単にVTuberを映しただけではない。ロボット上部のカメラがイベント会場を捉えて、VTuber側に現地の様子を伝えている(筆者撮影)

現実のイベントでは、さまざまな技術を用いてメタバースへの入り口としていた。VRヘッドセットを用意して、独自コンテンツを楽しんでもらうブースのほか、大型のスクリーンに仮想空間の様子を映し出し、生身のままCGで描かれたアバターとのコミュニケーションができるブースや、裸眼で立体表示が楽しめるソニーの空間再現ディスプレーを用意していたブースもあった。モニター越しにVTuberと会話を楽しめるロボットが徘徊し、メタバース内で撮影された映画を上映する個人ブースもあり、映画やアニメで描かれていた現実とバーチャルの融合を実感できる、未来の展示会場となっていた。

仮想空間側のイベントを知る人が多く集まっていたと同時に、秋葉原に観光で訪れた人も会場に足を踏み入れていた(筆者撮影)

来場者を見ると、普段はメタバース内で交流をしているのだろう。現実で会って話すオフ会のような様相を呈していた人々が多かった。それと同時に割合が多い、と感じたのが、インバウンド旅行者を含む観光客や、他の目的で秋葉原に訪れたと思われる人々だった。小さい子ども連れの家族の姿もあった。アニメやゲームコンテンツだけではなく、新しい技術や文化にも興味をもっている人が集いやすい秋葉原だからこそ、見かけない展示が多いイベントにも積極的に入ってこれたのかもしれない。

前者の方はすでにVRヘッドセットやメタバースを体験していることもあり、VRヘッドセットをはじめさまざまなコンテンツを気負いなく楽しんでいる気配を感じた。対して後者の方々は恐る恐るVRヘッドセットをかぶり、最初は戸惑いながらもしだいに「すごい!」と熱のこもった声をあげていた。

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