「中国がダメなら他国に売る」が難しい納得理由 EU向けの基準に合わせた工場の設備投資が困難

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日本では、EUへ輸出できる「施設認可」(EU HACCP)を取得している水産加工場は、まだあまり多くありません。一方で、日本に水産物を輸出している中国、タイなどの水産加工場は、EU向けの施設認可を持っているか取得できる工場ばかりです。

日本向けに輸出しているこれらの工場は、もともと日本人の指導を受けて生産ラインが組み立てられたり、品質管理が行われたりしていることが多いです。日本人が指導した工場なのに、肝心の日本の水産加工場の大半は、EU向けの施設認可をもっておらず、取得も難しいという現象が起きています。

なぜ日本の水産加工場に設備投資できないのか?

なぜ中国や東南アジアの水産加工場にはできて、日本の多くの工場はできないのでしょうか? それには大きく分けて2つの理由があります。

1つ目は、日本の場合は、設備が非常に古いことにあります。EU向けの認可を取るためには、建物ごと造りかえるような改築が要求されることがあります。一方で、中国や東南アジアの加工場は日本より新しく、初めからEU向けに輸出もできる前提で建設されているという違いがあるのです。

それでも国としても水産物の輸出を強く促進している環境で、かつ中国や香港への輸出が暗礁に乗り上げても、市場が大きいEU向けを進めるのは容易ではありません。

その大きな理由は将来性にあると考えられます。国内の水産加工業者のもともとの強みは豊富な国内水産物の水揚げでした。しかしながら、その肝心の水揚げが減り続けています。

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