
アメリカのトランプ大統領が仕掛けた「関税戦争」をきっかけに、EU(欧州連合)が中国製EV(電気自動車)に課した追加関税をめぐる懸案が解消に向かう可能性が出てきた。
中国商務省は4月10日、王文濤・商務相と欧州委員会(EUの政策執行機関)のマロシュ・セフコビッチ委員(通商担当)が4月8日午後にオンラインで会談したと発表した。双方は中国製EVに最低価格を設ける案について直ちに交渉を開始するとともに、中国とヨーロッパの自動車産業の投資協力について討議することにも合意した。
上述の最低価格案とは、中国の自動車メーカーがEUに輸出するEVの販売価格をあらかじめ合意した水準以上に引き上げ、輸出数量にも上限を設けるものだ。それと引き換えに、EUは中国製EVへの追加関税を取り消す。
最大45.3%の追加関税
EUは2024年10月末、中国製EVが不当な補助金の恩恵を受けているという調査結果に基づき、最大35.3%の追加関税を導入した。EUはもともと輸入車に10%の関税をかけており、中国メーカーは追加分と合わせて最大45.3%に上る関税を負担しなければならなくなった。
これに対し、中国商務省は最低価格を含む代替案について欧州委員会と交渉を重ねたが、(EU側が代替案の受け入れに消極姿勢をとり)最近まで実質的進展がなかった。その結果、中国製EVの対欧輸出は大幅な落ち込みを余儀なくされていた。
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