成功だとか失敗だとか、そのようなことを考えるのではなく、まずはただ「本気で行きたいのかどうか」ということなのです。この信念があるとないとでは、大きな差が出てきます。実際の生徒とのやりとりでは、私は生徒に何度も確認します。どの程度、信念化されているかを確認するのです。目標はただ作ればいいというものではなく、“魂”が入っているかどうかが重要なのです。
続いて次の会話をご覧ください。目標設定の第2条件についてです。
目標は10%増しでちょうどいい
木村君:「はい。今、模擬試験では70%まではとれているのであと10%は上げなければなりません」
私:「そうだね。しかしここで重要なことを話しておこう。2番手に合格したければ1番手に合格できるよう勉強しなければならないということだ」
木村君:「え! そうなんですか!」
私:「80%取ろうと思って勉強すると、どうしてもその手前で終わってしまう。だから1番手に合格する水準の90%取ろうと思って勉強することなんだ。そうすると最低でも80%、平均して85%はとれ、合格することになる」
通常、目標設定をしても、なかなかそのラインに到達しません。しかし、周りから見て、目標が達成できているように見える人がいます。そのような人たちは「目標到達のためには、その目標が途中経過になるように設定しなければならない」という原則を、意識・無意識を問わず適用しているのです。これが、目標設定の第2条件です。
100メートル走にたとえると、最高速度で到達するためには、意識の中でゴールを10メートル先の110メートル地点に置かなければなりません。100メートル地点に定めると、どうしてもゴールの手前でゴールを意識しすぎて力が入り、失速するのです(人間の意識とは不思議なものです)。
ですから100メートルは途中地点にします。しかし、あまりにも目標が遠いと、最高速度で通過できないため、だいたい10%から15%増しぐらいにします。
スポーツ大会でも同じことが言えます。3位以内を目指すのであれば、優勝するためのトレーニングをしなければなりません。3位を目指しているうちは、3位にはならないものです。
人間は目標を作ると、どうしてもその目標という「天井」ができてしまうため、その範囲内で何とかしようと努力するので、その「天井」まで至ることができない場合が多いのです。
以上のように、目標設定では、「本気であるのか」という点と「目標は到達すべきラインの1歩先、2歩先で設定する」という2つの条件をクリアしていくと、目標到達の確率がかなり高まります。松下さんは、ぜひ娘さんにこの2点について話をしてあげてください。来春を笑顔で迎えられることを祈っております。
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