一般的に、受験校は現在の自分の学力で入れる学校よりもレベルの高い学校になります。
そのとき重要になるのが「目標設定のあり方」です。実は多くの場合、目標設定のやり方に大きな誤りがあるため「通常、設定された目標は達成しない」のです。
「え!」と思われるかもしれません。なんとなく設定した目標は、まず達成できません。「志望校に合格している人もたくさんいるではないか」と思われるかもしれません。実は、そのような人は、目標達成するための大きな“仕掛け”を作っているのです。
目標は、なぜ達成されないまま終わるのか
ちまたでは、目標設定をすることが大切であると言われます。確かに目標がなければ実現する方向性と到達点がわからないため、十分に力を発揮できません。ですから「目標は明確に設定するべきだ」「目標を作ったら、やるべきことを細分化して、一つひとつをクリアしていけばよい」と言われます。これは極めて正しいことです。しかし、それでも多くの目標は達成できないまま終わってしまうということはないでしょうか。
なぜ達成されずに終わってしまうのでしょうか。理由はいろいろと考えられますね。「努力が足りなかった」「そもそも目標が高すぎた」「到達するための方法(勉強方法など)がわからなかった」などです。これらは理由として間違ってはいませんが、到達しない最も大きな理由は別にあるのです。次の生徒との会話をご覧ください。
木村君:「県立西山高校です。」
私:「その学校は県内で2番手の学校だけれど、今の学力では3番手レベルだね。あと少しで合格するレベルに到達すると思うけれども、ここ3カ月はあまり変わっていないね」
木村君:「はい。ちょっと焦っています。目標校を変えたほうがいいでしょうか」
私:「いや、変えなくていいけども、本当に西山高校に行きたいの?」
木村君:「はい。できれば行きたいです」
私:「『できれば行きたい』と思って、合格した生徒はいないよ」
木村君:「……」
私:「行くのか、行かないのか、本気で決めなければならない。本気というのは、覚悟を決めるということで、いったん決めたらよほどのことがないかぎり変えないという気持ちなんだけど、できるかな」
木村君:「はい、わかりました。やります!」
私:「結構厳しい勉強をやることになるが、やるか?」
木村君:「はい!」
この会話でおわかりいただけると思いますが、目標設定の第1条件は「本気なのか」ということです。日頃学生たちと接していると「できれば……」という気持ちで目標設定している場合が少なくありません。これは、心の奥底でうまくいかなかったときの言い訳を事前に作っておくという意味があるのです。
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