日本ハムの新本拠地が「最高の球場」といえる理由 「最大」から「最適」への最高なシフト

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私のような遠方(関東)からの観客も、開閉式屋根だと天気に左右されないので集客しやすいし、1日目は屋根が開いたのだが、抜群の開放感だった。

そして天然芝、見た目に爽快だし、言うまでもなく選手の身体にも優しく、思い切ったプレーができる。ちなみに、先の『アンビシャス』には、札幌ドームの人工芝に対する選手の不満が赤裸々に書かれている――「このグラウンドではダイビングキャッチができない」「この球場で三連戦をやると、身体がボロボロになる」。

まとめると、エスコンFの魅力は、野球ファンに向けた「最大」から「最適」へのシフトである。かつての広告コピーでいうところの「大きいことはいいことだ」的な札幌ドームから「こじんまりして高くて近くていいことだ」的なエスコンFへ。言わば昭和・平成から令和へのシフト。

関東に住んでいると、エスコンFのPRとして、「サウナとクラフトビールの新球場」という情報ばかりが届いていた。しかし、今回の取材を経て、エスコンFの「最適」性、その結果としての野球ファンにとっての「最高」性も、もっと打ち出していくべきだと思った。少なくとも私にとっては、マツダスタジアム、ほっともっとフィールド神戸を超えて国内最高球場に躍り出たのだから。

外野手が躍動するエスコンFという舞台

ファイターズは「外野のチーム」だと思う。2006年「北海道日本ハムファイターズ」としての初の日本一となったシーズンの外野手は、新庄剛志、稲葉篤紀、森本稀哲。札幌ドームの(硬い)人工芝の上で、グラブを頭に乗せて膝をついていたあの3人が今や、そのファイターズの監督、GM、コーチだ。

そして今回、私が観た2試合のファイターズの外野手は、松本剛、万波中正、五十幡亮汰。昨季首位打者の松本剛、本塁打リーグ2位の万波中正(8/24現在)、そして超・俊足の五十幡亮汰(中学時代、短距離走でサニブラウンに勝ったことで有名)が、はつらつとしたプレーを見せた(ファイターズが連勝)。

特に万波中正の躍動感は半端ない。ファイターズを超えて、これからの日本プロ野球を背負っていく逸材だと断言したい。まっすぐ育ってほしいと願う。

外野手が躍動することで、次の黄金時代を迎え入れる。そんな躍動の舞台として、屋根が開いて太陽を浴びた天然芝が敷き詰められた「最適」な面積の外野は「最高」だろう。そして、その躍動の舞台を野球ファンがじっくりと見つめるのに、エスコンFの「最適」なスタンドもまた「最高」だ。

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スージー鈴木 評論家

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すーじー すずき / Suzie Suzuki

音楽評論家・野球評論家。歌謡曲からテレビドラマ、映画や野球など数多くのコンテンツをカバーする。著書に『イントロの法則80’s』(文藝春秋)、『サザンオールスターズ1978-1985』(新潮新書)、『1984年の歌謡曲』(イースト・プレス)、『1979年の歌謡曲』『【F】を3本の弦で弾くギター超カンタン奏法』(ともに彩流社)。連載は『週刊ベースボール』「水道橋博士のメルマ旬報」「Re:minder」、東京スポーツなど。

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