まずは昨年取材で撮影した建設中の写真と現在の写真を見ていただきたい。
建設中には、平原の中にそびえ立つまさに「威容」という感じだったが、いざ開業してみると、その独特の形状が、威圧感・圧迫感を感じさせない、どこか人懐っこい感じを醸し出していることに気がついた。
エスコンFの建築に向けたノンフィクション小説=鈴木忠平『アンビシャス 北海道にボールパークを創った男たち』(文藝春秋)に、新球場建設のプロジェクトリーダー的存在である球団社員・前沢賢の思いがつづられている。
――「新しいだけの近未来的なフォルムにはしたくない。誰もがいつかどこかで見たことがあるような普遍的なデザインにしたい」
フィールドとの一体感を感じさせる中身
さらに驚いたのは中身だ。こちらもいよいよ威圧感がなく、いい意味でこぢんまりとしていて、フィールドとの一体感、臨場感を強く感じさせるのである。
エスコンFは、実のところ建物としてはとても広い。5万平方メートルもあり、これまでのNPB本拠地最大である福岡paypayドームの4.7万平方メートルをゆうに超える。
しかし収容人数は3万5000人で、かつての本拠地札幌ドーム(4万2274人・野球時)を大きく下回る。またホームから左翼ポールへの距離は約98メートルで、こちらも札幌ドーム(約100m)以下。外野フェンスも低くなり、新庄剛志監督は「日本一狭い球場。本塁打が出やすい」と述べている(中日スポーツ/2023年3月30日)。
またファウルゾーンも狭い。なお、狭い結果として、バックネット方向への距離が短すぎるとNPBに指摘されたのは記憶に新しい。
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