「社員の7割が障がい者」チョーク会社の誕生経緯 24時間テレビでドラマ化される日本理化学工業

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そうして1週間が過ぎ、就業体験が終わろうとしている前日のことです。「お話があります」と、十数人の社員全員が大山さんを取り囲みました。

「あの子たち、明日で就業体験が終わってしまいます。どうか、大山さん、来年の4月1日から、あの子たちを正規の社員として採用してあげてください。あの2人の少女を、これっきりにするのではなくて、正社員として採用してください。もし、あの子たちにできないことがあるなら、私たちがみんなでカバーします。だから、どうか採用してあげてください」

これが私たちみんなのお願い、つまり、総意だと言います。社員みんなの心を動かすほど、その子たちは朝から終業時間まで、何しろ一生懸命働いていたのです。

仕事は簡単なラベル貼りでしたが、10時の休み時間、お昼休み、3時の休み時間にも、仕事に没頭して、手を休めようとしません。毎日背中を叩いて、「もう、お昼休みだよ」「もう今日は終わりだよ」と言われるまで一心不乱。ほんとうに幸せそうな顔をして、一生懸命仕事をしていたそうです。

少女たちを正社員として採用することに

社員みんなの心に応えて、大山さんは少女たちを正社員として採用することにしました。1人だけ採用というのはかわいそうだし、何よりも職場で一人ぼっちになってしまいやすいのではないか、2人ならお互い助け合えるだろうということで、とりあえず2人に働いてもらうことになり、それ以来、障がい者を少しずつ採用するようになっていきました。

大山さんには、1つだけわからないことがありました。どう考えても、会社で毎日働くよりも施設でゆっくりのんびり暮らしたほうが幸せなのではないかと思えたのです。そんなとき、ある法事の席で一緒になった禅寺のお坊さんにその疑問を尋ねてみたそうです。

するとお坊さんは、「そんなことは当たり前でしょう。幸福とは、①人に愛されること、②人にほめられること、③人の役に立つこと、④人に必要とされることです。そのうちの②人にほめられること、③人の役に立つこと、そして④人に必要とされることは、施設では得られないでしょう。この3つの幸福は、働くことによって得られるのです」と教えてくれたそうです。

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