「奨学金520万円」東大卒26歳が怒った友人の一言 「奨学金があるからいいよね」とお小遣い扱い

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「東京の国立大学に通う子というのは、決してお坊っちゃま・お嬢様というわけではないですが、ほとんどが首都圏の私立の中高一貫校出身なんですよね。それに加えて、みんな学習塾にも通っているわけじゃないですか? わたしは母子家庭でそれなりに大変な高校時代を送り、もちろん塾にも行けなかったので、大学に入る前までの話をするとお互いに『すごいなぁ』という感想になります。普通はみんな塾に通っているし、自分の楽器も持っているということにショックを受けました」

これまで出会ったことのなかった人たちと大学で邂逅することで、自身の価値観や考え方も変わっていく。さらに、大学で勉強を続けていく中、沢村さんの学びの関心も別の分野に移っていった。

「もともと、歴史学を専攻していたのですが、この学問は突き詰めると時の権力者や政治を専門にすることが多いんですね。しかし、それよりもわたしは市井の人々の暮らしに興味があったため、そうすると歴史学の勉強では物足りなくなったんです。そこで、新しいことをやりたい、ほかの学問の視点を取り入れたいと思うようになり、大学院を決意しました」

大学時代、授業料が免除されていた沢村だが、大学院進学後も生活費には困らないと考えていた。というのも、大学院でも同じ財団から給付型奨学金を受給しようと思っていたためだ。

大学院に合格したものの、給付型奨学金の審査落ち

ところが、大学院合格を機に改めて財団に給付型奨学金の申請をしたところ、審査に落ちてしまう。

「県の育英会の貸与型奨学金は学部までしか借りられなかったので、給付型奨学金をアテにしていた部分もあったんですよ。だから、審査に落ちたときは『せっかく大学院に合格したのにどうしよう……』と思いましたね」

1年間、大学院の試験勉強に励んでいたため、ここにきて就職活動にシフトチェンジはできない。そこで、沢村さんは日本学生支援機構(JASSO)から奨学金を借りることにした。

「大学院入学後も申請ができる奨学金を探したんです。結局、借りたのは第一種奨学金(無利子)を限度額の8万円、第二種奨学金(有利子)も5万円ほど借りました。ただ、大学院でも授業料の免除申請を出しており、これまでの条件と同じであれば今回も通るだろうと踏んでいたんです。そのため、第二種の5万円は念のために借りておいて、2年間使わずにすぐに返そうと思っていました」

ところが、その嫌な予感は的中。沢村さんが大学院に進学したと同時に、新型コロナウイルスの感染拡大で生活が一変してしまったのだ。

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