映画「バービー」に激怒する男性に欠けている視点 フェミニズムなメッセージの解釈で物議

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そういった彼らの意見に対し、多くの反論コメントも寄せられている。もともとターゲットではない彼らがこの映画を気に入らなかったのは、ある程度仕方がないだろう。だが、実際のところ、「私たちが生きている時代」にバービー人形を映画にするのは、非常に困難なのだということを忘れてはいけない。

これが30年前であれば、シャピロが言うように、素直な形でやることができた。しかし、バービー人形が世の中の女の子たちに完璧なルックスを持つことへのプレッシャーを与えてきたことが批判される中、そこを無視して美しい女優を主役に据え、能天気な映画を作るわけにはいかないのである。

フェミニストのメッセージが必須

このバージョンの『バービー』ができる前には、人がバービーに持つイメージとは違う、ぽっちゃり型のコメディエンヌ、エイミー・シューマー(現在42歳)主演で映画を作る企画があった。その企画は実現しないままソニー・ピクチャーズの権利が切れてしまったのだが、日の目を見なかったその映画について、シューマーは「フェミニスト度が足りなかった」と語っている。つまり、今バービーの映画を作るなら、フェミニストのメッセージを入れるのは必須ということだ。

グレタ・ガーウィグが監督したこのバージョンには、まさにバービーにぴったりなルックスのマーゴット・ロビーが主演するが、映画はそこを逆手に取って、バービーが女性たちに与えるプレッシャーに触れる。それは実に賢いと、筆者は感心した。

それに、この映画は風刺コメディである。風刺では状況が実際よりも極端に描かれるもので、映画の中でマテルの役員が全員男性だったりとか、ライアン・ゴズリング演じるケンが現実の社会に影響を受けてバービーランドを男中心の社会にしようとし、女性であるバービーたちを男性を立てるだけのかわいらしい存在にしたりするのは、その目的でやっているに過ぎない。

バービー
主演のマーゴット・ロビーは従来イメージのバービーを表現(c)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
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