映画「バービー」に激怒する男性に欠けている視点 フェミニズムなメッセージの解釈で物議

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イギリス人ジャーナリストのピアース・モーガンは、「『バービー』が男性を扱うような形で女性を扱う映画を私が作ったとしたら、私はフェミニストから死刑にされるだろう」という見出しの意見記事を執筆。記事のはじめで、モーガンは、今日、男性は悪の支配者で女性は完璧な被害者という概念がフェミニストによって植え付けられており、それに意見をすると女性差別者と言われてしまうと述べる。

その視点から語られる『バービー』は、「唯一の解決法は、地球や自分たちをダメにする男たちを入れずに、女性だけで世の中を仕切ることだというメッセージを送るもの」だと書いた。

(以下、ネタバレを含みます)

『バービー』が描く“現実の世界”が絶対的な男社会であることに対しては、「私の住む現実の社会には、自信があり、すばらしいことを達成している女性がたくさんいる」と反論。クライマックスでアメリカ・フェレーラ演じる人間の女性グロリアが、女性たちが社会から受けているプレッシャーについてパワフルに訴えるシーンについても、「女性でいるということは惨めなんだなと感じた」とすげない感想を述べた。

先週はそこへ、アメリカのコメディアンで政治批評家のビル・マーが加わった。マーはXに、「説教臭い、男嫌いの、『ゾンビ嘘』のあるものでないことを願っていたのだが、その全部だった」と投稿した。

真実ではないことが描かれている

彼によれば、「ゾンビ嘘」とは、真実ではないのに一部の人がそうだと言い続けていること、あるいは昔そうだったことを今もそうであるかのように一部の人が言うこと。この映画でバービーを製造販売するマテル社の役員たちが全員男性として描かれているのはまさにそれだとする彼は、2023年現在、マテルの役員は7人が男性、5人が女性なのだという事実を述べる(この点については、シャピロとモーガンも指摘している)。

そんなマーは、「『バービー』は楽しいかもしれないがゾンビ嘘」と断言し、「私たちが生きている時代を生きよう」と呼びかけた。

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