私はよく「昔から記憶力がよかったのでしょう?」と言われるのですが、そんなことはありません。
「見たまま、聞いたままを覚える能力」はまったくなく、脳の記憶の仕組みを利用した方法を用いているだけです。
また記憶力を鍛え始めたのは、一般的に記憶力が衰え始めるとされている40代半ば。しかも記憶競技の練習を開始した時点で、初めて出場する大会までの期間は約1年しかありませんでした。
短期間でよい成績を収めるため、積極的に利用して結果を出せたのが手書きのメモだったのです。
さらに翌年も翌々年も、記憶競技で好成績を収めるには、自分独自の記憶のテクニックを編み出さねばなりませんでした。すでに世の中で知られている記憶術以上のものが必要だったのです。
そこで頼りになったのも、やはり手書きのメモでした。
指先を動かす=脳へのアプローチ
なぜ私が手書きのメモにこだわったのかというと、その理由は単純です。
手書きのほうが覚えることや学習には有利だからです。
例えば記憶・思考が行われる場所は脳です。
そうすると、脳が受ける刺激が日常的に多ければ多いほど、強ければ強いほど、より高効率に記憶・思考ができることになります。
脳の中で、知覚、思考、推理、記憶、自分の意思による運動などに関係している場所は「大脳」ですが、その大脳は身体の各部分と神経でつながっています。
そしてその大脳のなかで「手と指」に対応する領域は全体の3分の1にもなるのです。
このことから、手や指を動かすことが、ほかの体のどの部位を動かすより脳に刺激を与えられるか、納得いただけるでしょう。
「それならPCなどの電子機器も手や指先を使うのだからいいのでは?」
そう思われるかもしれません。
これについては過去の多くの研究から「手書きのほうが記憶・思考(学習)に適している」という結果が出ています。
例えばプリンストン大学とカリフォルニア大学の研究者の共同論文によると、授業中のノートを手書きした場合とキーボードで打った場合を比較すると、手書きのほうが授業内容の理解を深め、記憶にとどめる効果が高いと報告されています。
あなたもぜひ手書きのメモを有効に活用してください。
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