睡眠「22~2時はゴールデンタイム」信じる人の誤解 成長ホルモンの分泌は時間で決まるわけではない
関連して、前述した「疲れやすくなる」「怒ったり悲しくなったりと感情の起伏が激しくなる」「集中力が続かない」「ひとりぼっちのような感じがする」「記憶力が悪くなる」「イライラする」「落ち込む」「やる気が出ない」などの症状が報告されているのです。メンタルが不調のとき、体の中ではこんなことが起きているのですね。
運動はこの成長ホルモンと密接に関係しています。まず、筋トレ(無酸素運動)を行うと、乳酸という物質が体の中に放出されます。乳酸は「疲労物質」ともいわれますが、乳酸がきっかけとなり成長ホルモンを分泌させるのです。
もともと成長ホルモンは疲労回復を促すものでした。つまり、疲労していると分泌されます。逆にいえば、筋トレにより筋肉を疲労させると、成長ホルモンが出やすくなります。
糖尿病でも、このような仕組みがあります。血液中に糖が増えると、インスリンが分泌されて、血糖値を下げます。そして、インスリンというのは、すい臓から分泌されるホルモンです。人間の体はこのように、一時的に異常な状態になっても、それに対抗する仕組みにより、元に戻ることができるのです。それを媒介するのがホルモンの役割です。
疲れない生活をすると疲れに対抗する機能が落ちる
「疲れを取るために疲れる」というのは、本末転倒だと思われたかもしれません。しかし、人間も機械と同じで、使わない機能は衰えていきます。運動をしない、あまり疲れない生活をしていると、疲れに対抗する機能自体が落ちてしまうのです。
つまり、自分にコントロールできる範囲でほどよく疲れておくことで、常に元気な状態をキープできるというのが、人間の体の面白いところです。運動時に血液中の成長ホルモンは濃度が200倍ほどまで増加するとみられ、これは睡眠中と同じ程度です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら