睡眠「22~2時はゴールデンタイム」信じる人の誤解 成長ホルモンの分泌は時間で決まるわけではない

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ちなみに、女性ホルモンはセロトニンを活性化するため、逆に、いわゆる更年期障害で女性ホルモンが減少すると、セロトニンの機能まで低下してしまい、さらにイライラする負のスパイラルに陥ってしまいます。ここで、セロトニンの分泌を促進するのが運動というわけです。

セロトニンを分泌させる場合に特徴的なのが、「一定のリズムで筋肉の伸収縮を繰り返す」と分泌量が増加すること。筋トレだけでなく、有酸素運動でも、一定のペースでウォーキング、ジョギング、バイクを漕ぐ、ダンスするなどもOK。極端な話、一定のリズムでガムをかむだけでいいと勧める医師もいるほどです。

運動を始めてから20~30分でピークに

セロトニンの分泌は、運動を始めてから20~30分でピークに達し、それ以降は低下することがわかっています。

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そのため、疲れ果てるほどの運動や、苦手だと感じる運動は逆効果。ホルモンがメンタルに関係する以上、メンタルもホルモンに関係します。ポジティブな気持ちで運動に取り組むというのは、バカにできない効果があるのです。

運動をするタイミングは日中、場所は屋外がおすすめです。というのは、分泌のきっかけが日光を浴びることだからです。

ちなみに、このとき、リズム運動は大勢で行った方が、セロトニンの分泌が多くなったという報告もあります。

加えて、セロトニンはよい睡眠を促すメラトニンというホルモンを作る材料。日中に運動をして、セロトニンを多く分泌させることは、質の高い睡眠にもつながります。

朽木 誠一郎 医療記者

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くちき せいいちろう / Seiichiro Kuchiki

1986年生まれ。朝日新聞デジタル機動報道部記者・withnews副編集長。2014年群馬大学医学部医学科を卒業。同年オウンドメディア運営企業に入社、有限会社ノオトを経て2017年にBuzzFeed Japan株式会社へ入社し医療記者としての活動を開始。2019年に朝日新聞社入社。2020年より朝日新聞withnewsの副編集長(新領域担当)、編集局次世代チームサブリーダーに就任。2022年より現職。著書に『健康を食い物にするメディアたち』(ディスカヴァー携書)、『医療記者のダイエット』『健康診断で「運動してますか?」と言われたら最初に読む本』(ともにKADOKAWA)などがある

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