入社してすぐ「転職サイト登録」若者たちの本音 コロナ禍での生活や、配属ガチャへの悩みも

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「また、同じタイミングで『配属ガチャ』という言葉が広まりました。先輩たちの就活も見ていて、自分でキャリアを選ばなければならないとか、配属によって運命が変わりかねないという不安を感じている。転職サイトへの登録者数の増加は、『すぐに転職したい』ということではなく、そんな不安の表れではないかと思います」

「配属ガチャ」というのは、ソーシャルゲームなどでアイテムを手に入れるために回す「ガチャ」になぞらえ、「自分自身がどの部署に配属されるのか、入社してみないとわからない」という不安に重ねた言葉です。

最初の配属が希望から遠かった場合、いつでも転職カードを切れるようにする。それもサイトへの登録者が増えている背景の1つ、ということなのでしょう。

多様性を踏まえた「働く価値観」の変化

もう少し長いスパンで見ると、転職が以前よりさらに「当たり前」になった、という流れもありそうです。桜井さんは、こう説明します。

「2010年ぐらいからの変化を見ていると、この間の大きな変化は3つあります。まず、転職サイトへのアクセスが容易になりました。スマホからワンクリックで履歴書を送れるなど、簡便にもなりました。

2つ目は、転職自体のイメージの変化です。転職=給料ダウン、というイメージはなくなり、若い世代ほど転職によって昇給する、昇進する、というポジティブなイメージを持っています。

3番目は、働く価値観の変化です。今の世代は多様性、ダイバーシティを中学生の頃から学んできており、またSNSの台頭で自分らしく生きるゾーンが作りやすくなっています。『みんなが同じじゃなければいけない』はおかしい、ということをすごく大事にしている世代。それを『働く』でも実現したいと思うのは当然で、成長する中で自分らしさを勝ち取ることを意識してもいます。その中で、転職も自分らしく生きることの1つの手段になっている、ということなのでしょう」

入社してすぐ転職サイトに登録する、という、ここだけを切り取ると「後ろ向き」な感じがしなくもありませんが、実際はそうではなく、自分が成長することを真剣に考えるからこその登録で、むしろ「前向き」な行動なのかもしれません。

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