「台湾有事は日本有事」が当たり前である理由 「日本は巻き込まれなくてすむ」は非現実的

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――軍拡競争に陥ってかえって地域の緊張を高める安全保障のジレンマが起きて、軍事衝突のリスクが高まるとの主張も出ています。

中国は、自国防衛ではなく現状変更を目指しているので、その議論は当てはまらない。中国はこのまま進めば、日米台を圧倒できると考えて軍拡している。日本が増やそうが減らそうが中国は増やし続けるので、台米日が安全保障のジレンマを恐れて控えめにすればするほど、中国は目的を素早く達成できる。

習近平指導部に、必ず失敗すると理解させる

まつだ・やすひろ/1965年生まれ。1988年、麗澤大学外国語学部中国語学科卒。1990年、東京外国語大学大学院地域研究研究科修了。1994-1996年、在香港日本国総領事館専門調査員。1997年、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。2003年博士(法学)学位取得。1992年-2008年防衛庁(省)防衛研究所で助手・主任研究官。 2008年東京大学東洋文化研究所准教授を経て、2011年より現職(写真:本人提供)

むしろ安全保障のジレンマを中国側が感じ始めるようになって初めて軍備管理や軍縮の機運が生まれる。中国側が「いくら増強しても米日台も対応してくる」と考えてからようやく軍拡が非効率だと悟るのだ。

日米台など現状維持勢力が安全保障のジレンマを懸念して対応を放棄すれば、中国は台湾侵攻が成功する可能性が高まったと考え、より戦争が起きやすくなるだけだ。

――日本が防衛力を拡大すると日中関係が悪化して、経済関係や外交関係が崩れるので対話が大事との意見もあります。

外交・軍事二元論は国際社会で通用しない特殊な考え方だ。軍事力は外交の後ろ盾になるし、戦争中も外交が続くのが普通だ。抑止とは武力行使を思いとどまらせることなので、手段に外交や経済も含まれる。防衛力増強を行い、同時に外交手段を使って習近平指導部に対して武力による現状変更をやったら必ず失敗すると理解させる。

また経済で共存共栄を図り、発展を目指したほうがよく、戦争になれば中国経済が破綻し、共産党が政権を失うと感じさせることが重要だ。

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