迫り来る「台湾有事」に無防備すぎる日本企業 中国の在留邦人10万人は取り残されるのか

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「台湾リスク」特集バナー
台湾海峡波高し。デザイン/小林由依、杉山未記、藤本麻衣、中村方香
台湾海峡の緊張が高まっている。中国が台湾統一(併合)に向けて武力侵攻する日がくるのか。7月31日発売『週刊東洋経済』の特集「台湾リスク」では、日本企業に迫り来る台湾有事の全シナリオを示した。
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7月なかばの3連休。東京・市谷の防衛省近くにあるホテルの一室は、戦時さながらの緊張感に包まれた。「台湾有事」への対応シミュレーションが行われていたのだ。民間シンクタンク「日本戦略研究フォーラム(JFSS)」が主催し2021年から毎年1回行われている取り組みで、3回目の今年は米国や台湾からも有識者が多数参加した。

今回のシミュレーションでは27年を想定して、中国と台湾の間で発生しうる軍事衝突のシナリオを3つ用意。刻々と変化する事態に、参加した国会議員が「大臣」として判断を下していく設定だ。事務次官クラスの元官僚や将官級の自衛隊OBが補佐役を務める。

「事態認定」の難しさ

今年のシミュレーションの想定時期が27年とされたのは、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有など防衛3文書に盛り込まれた防衛力整備が実現するタイミングだからだ。同時に中国人民解放軍の創立100年の節目、かつ中国の習近平国家主席が3期目を終える直前でもある。さらなる任期延長を目指す習主席が、レガシーづくりのために台湾統一を急ぐ、という予測は米軍関係者からしきりに発信されている。

シミュレーションで首相役を務めた小野寺五典・衆議院議員(元防衛相)が最も頭を悩ませたのが、「事態認定」の難しさだ。自衛隊が防衛出動するには、政府が「武力攻撃事態(日本への武力攻撃に対して個別的自衛権を行使)」「存立危機事態(密接な関係にある他国、つまり米国への武力攻撃に対して集団的自衛権を行使)」のいずれかに認定する必要がある。

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