ロシアの侵攻で増す懸念「台湾有事」日本への影響 「今日のポーランドは明日の日本」になる可能性

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ウクライナ侵攻で、中国のトップ習近平氏の動きにも注目が集まる(写真:Qilai Shen/Bloomberg)
ロシアのウクライナ侵攻によって、次は「中国による台湾への武力行使」を懸念する声が高まっている。日本が想定しておくべきことは何か。中国防衛駐在官(駐在武官)も務めた、自衛隊きっての中国ウォッチャーが解説する。

ロシア自身も共同提案国に名を連ねていた「オリンピック・パラリンピック休戦」国連決議を無視したロシアが、北京パラリンピックの開幕を直前に控えた2月24日に隣国ウクライナに対する「特別軍事作戦」という名の武力侵攻を開始してすでに1か月が経過した。

3月2日には国連緊急特別総会が開かれ、ロシアを非難し、ウクライナからの無条件での即時撤退を求める決議が、140か国を超える賛成多数で採択され、国際社会の支援を受けながらもウクライナ市民への甚大な被害は拡大する一方であり、ウクライナの人口の4分の1にあたる1000万人を超える市民が居住地を追われて国内外へ避難を余儀なくされている。

「不可分な同一民族」に非人道的で無慈悲な侵略行動

ロシアはウクライナを歴史的に不可分な同一民族であるという。2021年7月、プーチン大統領は「精神的、人間的、文明的な絆は何世紀にもわたって形成され、共通の試練、成果と勝利によって固められてきた。ロシアとウクライナに住む何百万もの家族を結びつける血のつながりがある、われわれは1つの民族である」とする論文を発表した。

また、侵攻開始直前の2月21日、プーチン大統領は「ウクライナはわれわれにとって単なる隣国ではなく、われわれ自身の歴史、文化、精神空間にとって不可分な一部なのであり、われわれの同志、仲間である」とロシア国民に語りかけた。

しかし、今、国際社会が目にしているウクライナの状況は、チェルノブイリをはじめとする原子力発電所への攻撃や、住宅、学校や病院などの市民を直接の目標とする無差別な攻撃である。さらに今後の戦況次第では、ロシアは生物・化学兵器や核兵器の使用すらいとわない様相である。

こうしたウクライナに対するロシアの非人道的で無慈悲な侵略行動からは、「不可分な同一民族」や「血のつながりのある家族」に対する優しさは微塵も感じられない。

「不可分な同一民族」や「血のつながりのある家族」といったプーチン大統領の言葉を背に、ロシア軍将兵はウクライナ人にどのような思いで相対しているのだろう。もちろん、異なる民族や異なる宗教を信仰する相手だからと言って侵略が正当化されるわけではないことが、21世紀を生きるわれわれ国際社会にとって自明の理であることは言うまでもない。「不可分な同一民族」や「血のつながりのある家族」といったプーチン大統領の言葉が空虚であることを最も理解していたのはウクライナの人々であった。

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