ロシアの侵攻で増す懸念「台湾有事」日本への影響 「今日のポーランドは明日の日本」になる可能性
ウクライナの隣人であるポーランドは、すでに200万人を超える避難民をウクライナから受け入れている。ウクライナとポーランドの間にも隣人ゆえのさまざまな歴史がある。しかし、ウクライナへのロシアの蛮行を許せば、いつかロシアの銃口が自国に向けられるかもしれないという危機の中、政府レベルのみならず草の根レベルにいたるまで避難民を温かく迎え入れている様子が連日の報道を通じて国際社会に伝えられている。
ウクライナと異なり、周囲を海に囲まれた台湾からの脱出は、空路と海路に限られる。民間航空便が閉ざされれば、船で海に逃げ出すしかない。
台湾から海に出て、海流に乗ればすぐに与那国島から始まる日本列島であり、日本は台湾の人々にとって歴史的にも近い国である。
多くの避難民が日本を目指すことになる
1945年までの日本による植民地支配の歴史の一方で、最近では日本人と台湾人の価値観や生活感覚は中国大陸の人々よりも近いとも言われている。最近の世論調査では、「最も好きな国・地域」「最も親しくすべき国・地域」のいずれにおいても、アメリカや中国に比して日本を挙げる台湾人の数がつねに圧倒しており、日本に対する信頼感も高い。多くの台湾からの避難民が日本を目指すことになるだろう。
台湾への武力侵攻が長期化すれば、避難生活も長期化するだろうし、もし台湾の統治形態が変われば、避難民の多くは台湾への帰還をあきらめ新天地での定住を求めることになるだろう。「今日のウクライナは明日の台湾」と評する議論があるが、「今日のポーランドは明日の日本」にならないとは限らない。
「台湾有事は日本有事」であると警鐘を鳴らし、防衛力や国民保護の態勢についての議論もさることながら、避難を余儀なくされる隣人への対応を誤ることは、日本に期待を寄せる親日の隣人を失うことにもなりかねない。
※本論で述べている見解は、執筆者個人のものであり、所属する組織を代表するものではない。
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