国立市を「住みやすい町」にした重度障害者の「声」 フルインクルーシブで「分けない教育」目指す

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三井さんが障害のある人の自立生活を支援し始めると、全国から100人あまりの障害のある人が夫妻を頼って国立市に移り住んだ。運営する「かたつむりの家」で1人暮らしの練習を3カ月積んだあと、部屋を借りて自立していく。

木村英子参議院議員。高校卒業後、施設を拒否して19歳のとき家出し、国立市で自立生活の練習をした(写真:木村英子事務所提供)

れいわ新選組の木村英子参議院議員(58歳)は高校卒業後、施設入所を拒否し、19歳のとき家出した。三井さんが結婚して出産したという記事に感動し、その切り抜きを持って、車いすで国立市まで来た。かたつむりの家は入所の待機者がいる状態だったが、「いま自立しなかったら、一生、施設から出られない」と夫妻に背中を押され、自立の練習を始めた。

三井さんを長年支援してきたのが、無所属の上村和子国立市議会議員(67歳)だ。1999年に市会議員の職に就任以降、24年間、福祉政策を担当してきた。現在は人権政策および総務文教委員会に所属する。

全国初の「障害当事者」枠

上村議員は就任6年目(2004年)に、国立市の地域保健福祉計画に関する策定委員に障害当事者枠を提案し、全国で初めて実現させた。身体障害当事者である三井さんのほか、知的障害当事者、精神障害当事者が参画した。

上村和子国立市議会議員。現在7期25年間の議員生活を送るなか、国立市に「ソーシャル・インクルージョン」の考え方を導入し根付かせた(画像:上村知子国立市議会議員ホームページから。ご本人の了承を得ている)

この行動を後押ししたのが、当時、障害者権利条約策定時のスローガン「私たち抜きに、私たちのことを決めないで(Nothing about us without us)」だった。その後、国立市では基本的考え方とされた。

国立市の行政サービスの特徴は「個別対応」を重視していることという。

「障害の等級でなく、介護保険制度の基準に合わせることもなく、当事者個別の人生、生活状況に応じて、行政が細かく対応してきた」と上村議員は説明する。一般的には65歳以上になると高齢者介護サービスに移行するが、国立市では利用中の障害福祉サービスをそのまま継続できる。

また、国立市では、2009年から市独自の「地域参加型介護サポート事業(パーソナルアシスタント制度)」を導入している。この制度では、障害のある人が知り合いや友人を介護者として選んで、公費で雇用してもらう。

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